番外 JASRAC – この救いようのない人達

JASRAC(音楽著作権協会)がまた何か企んでいるらしい。音楽界では様々な職種があり、それぞれ分担して仕事をし、各々の立場で、音楽界の発展を願っている。その中で、作曲家や、演奏家が特に上位の存在であるとは、誰も思っていない。だが、「著作権」という「概念」を錦の御旗に、その中でコソコソとテラ銭商売を企むのは、私に言わせれば、最も下衆な商売だ。JASRACの成立に関しては、ここでは書かない。検索かけてくれれば分かるだろうから。

忘れもしない、JASRACと私との間で十数年前に起こった事件について書く。当時、アンサンブルを組んで全国で演奏会をやった。主催者は色々であったが、多くは音楽とは関係のない団体で、コンサート開催の経験も豊富でなかった。だから、開催業務、もちろん著作権料支払い、それにかかわる申請業務一切を、私の事務所で請け負う契約にしていた。主催者には、「JASRACから著作権料の支払いについて連絡がありましたら、こちらに回してください」と言っておいた。

演奏曲目の中にピアソラが入っていた。ご存知の方も多いと思うが、JASRACでは、音楽をクラシックとポピュラーに分けていて、著作権料に大きな差をつけている。(クラシックの方が高い) 数か月前に開催した中国地方での演奏会では、JASRACの神戸支部がピアソラをポピュラー音楽と規定して著作権料をかけてきた。もちろんちゃんと支払った。そして、別の演奏会の後、JASRAC東京からの請求を見たら、同じピアソラの曲がクラシック音楽に分類されていた。JASRACに「どうしてまったく同じ曲を同じ形態で演奏して、ジャンルが違うのか?」と訊ねた。当然、まともな回答などできるわけもなく、「そっちはそっちの判断で・・・モゴモゴ」だ。しょうがないから「ピアソラをクラシック音楽と規定した根拠を示してください。」とお願いした。数日後、雑誌のコピーが送られてきた。何が何だかわからないと思っていたことろ、JASRACの担当者が電話をかけてきて、「そこに書いてあるでしょ、ピアソラは、パリでナディア・ブーランジェに師事していた。」って言う。「はぁ???」それだけかよ。根拠って。じゃ、他のポピュラー音楽作曲家は、クラシック系統の先生には師事してないの? それ、調べたの? もっと言やぁ、ピアソラは、ブーランジェに、「あんた、国へ帰ってタンゴやりな!」って言われたんだぜ。

な、いい加減だろ? 腹立つよな? で、これは納得がいかないから、争う旨、宣言しておいた。ついでに「このやり取りは録音してある」とも言っておいた。そうしたら、なしの礫だよ。一件落着と思うだろ? これが違ったんだよ。

うちとかかわると面倒になると踏んだJASRACは、主催者を脅かして、支払わせた。素人の団体に、「日本音楽著作権協会でござる。支払い義務は主催者にあり・・・」って脅かした。主催者のご婦人が、びっくりして、払っちまったんだよ。

課金の根拠もいい加減なこんな組織が、音楽家の代理のような顔をして商売をしている。(じゃ、ピアソラ側にはいくら払うのよ?) これからの音楽の発展を誰もが願っているこの音楽界で、子供の音楽教室から、著作権料を取ることに賛成する音楽家はほんとうに居るのか? 一銭でも多くのテラ銭を取れるところから取る、こんな事ヤクザでもやらない。店がみかじめ料に文句言ったら、客を脅して取ったんだぜ。

下衆、思いつく言葉はこれしか無い。

きょうはここまでだ。