フルートの吹き方 良い音を出すための持ち方(3)

 まず、右手の甲を上にして、完全に脱力してちょいと観察しようか。ピアノを習うと、「手の中に卵を包むような感じで・・」って、言われるよな。フルートも同じだ、それが自然だから。いま、冷蔵庫に卵を取りに行こうとした貴方は、才能ある! たいていの大人、99.9%の大人は、「ふん、ふん、それで?」って、わかったつもりになるんだな。子供は違うぞ。「おかあさん!卵!」だ。ま、いいか。あ、思い出した。卵ってどうしてあんな歪な楕円形してるか知ってるか?あれな、転がっても元の位置に戻ってくるんだよ。つまり、巣から落ちないってわけね。それから、あの細い方と、平らっぽい方と、どちらが先に出てくるか知ってるかい?あれ、平らっぽい方なのよ。これ、豆な。

 さてと、まず親指だが、人差し指の真下に90度ねじれて付いてないか?ついでに軽ーく人差し指と親指で輪っか作ってみてくれ。OKサインだ。二本の指のどこが接した?んなら、そこでフルート持とうぢゃないの。つまり、右手の親指は腹でフルートを支えるんじゃないぞ。横だ。爪の横か、もう少し指の付け根に近づいたところだ。位置は、人差し指の真下だ。写真貼っとくわ。勘弁してくれ、汚い手で。荒れてんのは料理するからだ。洗い物もちゃんとするからな。お母ちゃんにさせてるんだったら、この瞬間、感謝しような。親指の腹でフルート支えようとすると、手の形がつぶれたようになって、中指、薬指がキイから離れていくだろ?やってみな。それから、さりげなく書いておくが、前回、「回転を止める」と書いた。それ、この親指で止めるんだよ。手首をほんのちょっと持ち上げてごらん。親指に傾斜がついて、楽器の回転止められるだろ?

 次に、人差し指、中指、薬指、(小指)だ。手の甲をよく見てくれ。湾曲してるよな。しかし、フルートの三つのキイは平面上にある。この三つのキイを全部、律儀に指の腹で抑えてみろ、指突っ張ってどうしようもないだろ。だから、指は小指のほうに行くにしたがってだんだん指の外側で押さえていくことになるんだ。右手の小指なんか、ほとんど角で押さえないと力も上手くかけられんぞ。そこのEsキイはバネが固めだからな。小指なんか、腹で押さえてみろ、真っ直ぐに伸びちまうわな。先生にいつも言われんだろ?先生も先生だわな。はい、指伸びてちゃダメよ、なんて言うだけなら楽な仕事だ。今度それしか言われなかったら、睨みつけてやれ。

 そこの美しい貴女!あなたの白魚のような細いきれいな薬指の「外側で」リングキイ、ちゃんと塞がるか?そうまでして、リングキイに拘る理由は何なの?ま、そう言うこの私も、二本目はリングキイだった。かっこ良かったからな。大学卒業まで、リングキイだった。かっこ良かったからな。でもな、ドイツである時、きちんと調整されたカバードキイのフルート吹いて、感動したわ。「リングより鳴るじゃん。」それから、もうひとつついでに言っとくと、リングにはH管だわな。3オクターブ目の響きの為にその方がいい。でもな、フルートの右のほうが重すぎて、バランスとり難くないか?前回書いたように、口をつけずに手だけでフルート持ってみると、歌口のほうポーンて、上がっちゃわないか?

 毒づいていたら、疲れたな。やっぱり性格に合わんな。

 明日は、左手だ。こいつは厄介だ。

今日はここまでだ。