別冊綴込 業界用語

生徒は、先生の一番悪いところを真似すると言いますな。別に先生だけじゃなくて、小さい子供を見ていると、何処で覚えてくるんだか、悪い言葉ばかり達者になるようです。音大なんてぇ所に入りますと、1年も経たないうちにお下品な業界用語を覚えてしまいますな。

「ヤノピのルーモとビータでシーメしたらデーマン」まあ、なんとお下品ざましょ。「ピアニストの彼女と旅行に行って食事をして2万円払いました」だ。

まず数字。1はツェー。以下ドイツ語読みで2がデー、3がエー、4がエフ、5がゲー、6がアー、7がハー、ジャズ系の人だとビーって言う。8はオクターブのオク、9がノインじゃなくてナインだ。どうも音楽家の頭では、ドイツ語の9までは覚えられないらしい。で、例えば、1000円はツェーセンだ。もともとはギャラの交渉に使われたんで、円は付けない。「取っ払いでゲーマン」って言えば、「税申告抜きの5万円」だ。テンパー抜かれるとエフゲーだ。または、エフ万ゲー千ともいう。ゲーセンったってゲームセンターじゃないから。

単語はだいたい逆さまにするが、完全に逆さまにしてはいけない。「仕事」は「ゴトシ」、「タクシー」は。「シータク」だ。だから「びっくり仰天」は「クリビツテンギョウ」になるわけだな。「チャンピオン」は「オンピチャン」だ、可愛いだろ? 2音節で逆さまにするときは、間に長音を加える。「飯」は「シーメ」、「旅」は「ビータ」だ。じゃ、1音節は? 「目」は「エーメ」、「歯」は「アーハ」。「誰かエーへしたろ!」みたいに使う。

しかし書いてて、なんと下品な言葉遣いかと、手が震えるよ、まったく。隠語の代表格は、アードゥとルーモだ。アードゥはdur(長調)の逆で、ルーモはmoll(短調)の逆、すなわち、アードゥは男、もしくは彼氏、ルーモは女または彼女を指す。舞台屋さんの業界用語が、から来た言葉も多いが、音楽界の用語として、皆平気で使っている「ゲネプロ」。あれは”Generalprobe”ドイツ語(総練習)の短縮形だ。ドイツでは短縮しない。当たり前と思うかもしれないが、ドイツだって短縮することがある。ゲシュタポは、”geheimnis Staatspolizei”(ゲハイムニスシュタァツポリツァイ=国家秘密警察)の略だ。これ、豆な。話、戻して、指揮者は「ボーフリ」。リだ。ラじゃないぞ。

さっきから、キーボードの手が止まってるんだが、いや、とても書けない言葉が山のようにあってね・・・書けないくらいだから、逆さまにしないと言えないんだけどね。止めとくわ。

個人的には、作曲家の名前や曲名に、逆さま語や短縮形を使うのは嫌いだ。実際、あまり使われていなかったように思う。取り違えると大変なことになるからかもしれない。「べとしち」とか「しべに」とか言うのは、アマチュアオーケストラの人に多い。「ベートーヴェンの七番」、「シベリウスの2番」って、ちゃんと言おうぜ。

きょうの、手抜きですまん。まねすんなよ。明日から、「装飾」について書く。これが厄介なんだ。

きょうはまでここ。

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