通奏低音 作曲者は二つの声部、つまり独奏楽器のパートと、伴奏楽器の最低声部しか書いていません。実際には、チェンバロなどの鍵盤楽器を受け持つ奏者が、この低声部を基礎に、そこに記された数字や記号の指示にしたがって、和声を自由な形で付して演奏します。鍵盤楽器奏者は、この数字によって示された和音構成さえ守ればよく、無限の可能性を持っていると言えます。さらに、チェロあるいはヴィオラ・ダ・ガンバのような低音楽器の奏者がこの低声部を重複して奏します。楽譜は二段しか書かれていませんが、実際にはみ3人の演奏家を必要とします。また、上声部を奏する独奏楽器の奏者も旋律に自由に装飾を付加して演奏する事が許されていました。こうしたバロック音楽特有の低声部の書法を「通奏低音」と呼びます。 |