18世紀の音楽を演奏するにあたって、ゲネラルバス(Generalbass、Basso continuo通奏低音)を読めたほうが何かと便利だ。でも、それは、装飾、フレージング、楽章の終わり方、あるいは楽章の受け渡しとか、そんなことの助けになれば便利だ、というだけにしておこう。勉強すればするほど、窮屈になる。「ああしてはいけない」、「こうしなくてはならない」ばかりが頭に入ってくると、身動きが取れなくなる。もちろん、それを乗り越えてさらに自分の音楽を見いだせれば最高だろう。前にも述べたが、私たちは19世紀の音楽も20世紀の音楽も知ってしまった。ジャズや、ポップスや、演歌も知っている。もちろん聞いている人だって同じだ。その経験を抜きにして、自分の音楽と言い張れるだろうか? 「そんなのバロックじゃない」って、笑われてもいいじゃないか。吐き気がするならどうぞご勝手にだ。
その上で、少しだけ書いてみようと思う。ヘンデル(Georg Friedrich Händel 1685-1759)のフルートと通奏低音のためのソナタ、ト長調(G-dur)を例に採った。
まず、ざっとゲネラルバスの読み方だ。最初の音符G(ソ)に何も書いてない。これはそのまま3度と5度を重ねればよい。ま、ト長調のドミソだな。じゃ、次のA(ラ)にも同じようにするかというと、これを含めて3つ、経過音=非和声音だからほっておく。ま、バスにも遊ばせてやれよってことだ。次、これはD(レ)に4だな、これは、4度と5度を重ねる。次のC(ド)は刺繍音=非和声音だからほっとく。ああ、面倒くせぇ、つまり、テキトウに非和声音を除外して、数字のついた音符は、その指示に従えってことだ。数字の6は、3度と6度を重ねる。上の段にその和音を書いてみたけど、わかりやすく書いただけで、別にこのように各声部として進行するわけじゃない。突っ込まないでね。俺、和声の成績悪かったから。
で、今日の注目してほしい所は、何か所かある「オクターブの下降からその4度上に進行するところ」だ。この楽章中6箇所ある。このうち、4番目以外は、最後の音の上に3度、5度が乗った形で、これが終止形だ。終止にはこれ以外にもいろいろあるが、とにかくゲネラルバスで、この形が出てきたら、終止として意識した方が良いだろう。息取りや、フレージング、そしてトリルの付け方などの指針になるはずだ。何調に転調したかもわかる。特に、3番目、5番目、6番目の形は頻繁に見ることができ、多くの場合、主和音に解決する前にトリルを選択できる。(四六の和音—属和音—主和音)
楽譜つくるのに時間がかかってしまったよ。
きょうはここまでだ。