フルートの吹き方 息の取り方(7)

昨日の最後の譜例は、言葉でまとめると、長い音符の後に続く後打音は、基本的にはスラーで結ぶ。しかし、その間で息を取らなければならない場合、息取りの後に、もう一度長い音と同じ音程から始めるととっても素敵! かな。素敵! って言ってるだけだから・・・気に入らん人も居るだろうな。ただ、息取りを考えるときの参考にしてほしいということと、より音楽的な息取りへのアプローチとして、書いてみた。息取りを楽しもう!

息取りの方法の最後に、もう一つ大事な点を挙げておこう。それは、息取りの前後の音の処理だ。良く息取りの前の音が、いきなりフォルテで切れる場合がある。しばしばそれを本人が自覚していない場合があるので、自分の演奏を注意深く聞いてみよう。録音して聞いてみるのが最も良い方法だ。幸い、スマホなんかで簡単に録音できるのだから、これを使わない手はない。面倒臭いってか? 昔はな、カセットレコーダーでぽちっと押して録音開始、ぽちっと押して録音終了、で、巻き戻しだ。頭が出ないのよちゃんと。それに比べりゃ今は天国だな。ま、嫌だけどな、自分の聴くの。この、演歌歌手の歌い方のような唸ったようなフォルテは、息を吸い過ぎていたり、息のコントロールが充分でない状態で吹いている時によく起こる。息を取る前に、余った息を吐いてしまおうとしたり、一度お腹に緊張を加えないと上手く息が吸えなかったりした時だ。まるで「よいしょッ!」て掛け声かけて息を吸うのが聴こえてくるようだ。これは、かなり強烈な印象を与えてしまうから、表現としてわざとフォルテで見得を切るように吹くのもアリだけど、、あまり多用しないほうが上品なんじゃないだろうか・・と思うよ。フォルテで終わって、その後の静寂が対比になるような時は、劇的な効果を生むことがある。オペラ歌手は時々やるね。毎回、無意識のうちに、劇的に吹いていたら、ちょっと問題だ。

息取りの後の音が、ドッカンと出ちゃったり、つんのめった様に尖がったり、爆発音だったり、タンギングが汚く聴こえたりってのも、よくある問題点だ。原因の主なものは、まず、息の吸い過ぎ。いつも、目一杯吸って吹き始める人は、気を付けようね。飯も空気も腹八分だ。それから、やはり吹き方で、音の立ち上がりが悪いとこの傾向は強くなる。そのうちいつか、ロングトーンについても書こうと思っているが、ロングトーンの際最も注意しなければならないのは、音の出る瞬間と、音の切れる瞬間だ。つまり、ロングトーンの重要なポイントは「息取り」と言っても差し支えない。

この印をきょうは覚えてくれ、事あるごとに思い返して欲しい。わが師ハンス・ペーター・シュミッツ博士が、何度となく私の譜面に書き込んだ記号だ。

息取りの前はディミヌエンド、後はクレシェンドだ。これ、逆手に取るとディミヌエンドと、クレシェンドが出会う点は、息取りポイントになり得るという事でもある。

明日は、楽譜の読み方を書こうと思う。

きょうはここまでだ。