フルートの吹き方 大切な話をしよう(3)

 ちょっとだけ昨日の続きだ。なぁ、子供たちよ!今度フルートを練習するとき、隣の部屋のお母さんに向かって、感謝の気持ちを込めて、思いっきり暖かい風が流れていくように吹いてみようか。曲なんかなんだっていい、ロングトーンや音階練習だっていいんだ。もし、後でお母さんが優しく抱きしめてくれたら、君は、間違いなく大フルーティストになれる。保証する。「いい曲ね」って言われるのも悪くないな。でもな、大人は素直じゃないから、「さっきの曲はなんていう曲?」とか、「最近上手になったわね」とか「次の本番はいつなの?」とか聞いてくることもあるな。もっと、素直じゃないと「なんか今日は音が大きかったわね」とか、「ずいぶん一所懸命に吹いてたわね」なんて、こっちの気持ちとは裏腹に、カチンとくるような事を言うかもだ。でもな、全部大正解だ。君はいい音楽家になれるよ。「いい音楽家」というのは、「プロの」という意味じゃないぞ。ここでいう「いい音楽家」というのは、「世の中が求めている本当の音楽家」という意味だ。そういう意味では、プロもアマも関係ない。プロっていうのは、音楽以外にも色んな事を勉強したり、克服したり、戦ったりしなくちゃならないからな。そうしているうちに、「世の中に求められていない音楽家」になっちゃう人もたまに居るからな。あ、余計なことを言っちまったな。え?お母さん、何にも反応しなかったか?う~ん、じゃ、もう少し頑張ってみようか。でも、ひとつ、やっちゃいけないことがある。それは、「こっちから聞くな」だ。「どうだった?」なんて聞いてみろ、軽々しく褒めるか、知ったかぶりで批評するかどっちかだ。屁の足しにもならん。君のフルートの音色を、直接奴の心に叩き込め!、いやいや、君の暖かい風で、お母さんを優しく包んであげよう、ぜ。

 さて、大人諸君!貴方は上の文の登場人物の誰に自分を置き換えられる?子供、お母さん、大フルーティスト、いい音楽家、良くはないプロ、こっちから聞いちゃう子、褒め屋、知ったかぶりの批評家、屁・・・俺は、大フルーティストより、子供のほうがいいな。そして、たぶん、抱きしめられる子供より、もう少し頑張らなくちゃならない子供のほうが、俺には合ってる。

 きょうは、「楽譜に忠実」とか、「楽譜通りに」っていうのが、どんなに馬鹿らしい事か書くつもりだったんだ。でも、長くなりそうなんで明日にする。そのあと、「息の取り方」、「楽譜の読み方」、「テンポの取り方」・・・沢山あるんだ。期待しないで待っててくれ。

きょうはここまでだ。