持ち方ですべてが決まる(3)
右手の親指の横でフルートを支えることのもう一つの利点は、フルートの重心を感じ易くなることである。何度も書いたことだが、フルートを支えるということは、不動の3点ないしは4点でフルートを動かなくすることではない。フルートの重心が今どこにあって、どの方向へ動こうとしているのかを感じて、バランスを取るということが必要だ。そのためには、面で接する親指よりも、親指の側面を利用して、線に近い接し方のほうが断然有利である。試していただけただろうか?一切の、無理、無駄を省くためにこの手の形はとても重要だ。
そして、こんな持ち方をしたら、2~3オクターブ目のC(ド)やCis(ド#)の時、フルートを上手く支えられない、安定しない、回転する、フルートを落っことしてしまうと思った人。きょうはそんな人のためのTipsだ。
早いパッセージの中のCやCisなら、そんなに心配することはない。フルートの重心を感じて、柔らかく力を抜いて持っているなら、そのままの運指で苦労はしないはずだ。左手の人差し指でフルートを唇にぎゅっと押し付けていたら少々苦労はするかもしれない。その時点で、もうフルートの重心は感じられていないはずだからだ。そして、ある程度の長さのあるCやCisだったら、親指でH(B)キイのポストを支えてやれば良い。

CやCisのとき
この赤丸の部分を左手の親指で支えると良い

こんな感じ・・・
余談になるが、このポストを支える持ち方で、Cis(2オクターブ目)のロングトーンをやってみると良い。Cisはフルートの管が一番短い状態なので、息がしっかり腹で支えられていないと不安定な音しか出ない。音程が上ずり、ひゃーって音が出てしまう。心当たりがあればチャレンジしてみてくれ。3オクターブ目のCisはこれよりもさらに難しい。唇の力が抜けていないと響きが失われてしまうし、息のスピードが上がらないと音程が下がってしまう。3オクターブ目のCisをpppで吹けたら、上級の技量を持っていると言えるだろう。
さらに、この時、左手の人差し指の第2関節と第3関節の間をフルートから離してみよう。これができれば、フルートを唇に押し付けていない状態がわかるはずだ。この人差し指をフルートから離す奏法は、GやGisでもできるので、曲の中で長めのGやGisが出てきたらゆっくりやってみると、その後のパッセージを豊かな音で響かせることができるだろう。

GやGisのとき、手首の力を抜き、柔らかくして、やや小指方向に回転させ、人差し指とフルートを離してみる。ほんの1mm程度で充分だ。
きょうはここまでだ。 ・・・・暑いよ
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