ちょっと長い前置き

 おいらの好みではない、えらくキャッチーなタイトルなんだが、検索語句を調べるとこういうのが上位に来る。みんな困ってんだろうな。なぜ、おいらの好みではないかというと「美味しい所だけ食べる奴が嫌い」だからさ。だから、「上達の秘訣って何ですか?」って聞かれると「そんなもんはねぇよ」と言いたいんだが、でも、あるんだよね、少しは。「長生きの秘訣」とか「健康の秘訣」なんかほとんど当たり前のことしか言ってないけど、確かに「暴飲暴食」なんぞはあまりしないほうがいいだろう。ま、それよりはましな事を書いていくつもりだ。
 ある試験があったとする。合格点は60点。試験の要素は2種類あって、Aの配点は30点。Bは70点だ。あなたが得意なのはBで、不得意なAなんか捨てても、得意なBで得点すりゃ合格だ。いろいろ考えはあるだろうが、「上達」することを目標に置くとしたら、ここはやっぱりAを勉強・克服しなくちゃならない。そうしなければ一生70点以上は取れないからな。だから、「美味しい所だけを喰う」癖は捨てたほうが良い。賢明な読者諸兄は、今までに私が語ったことをご理解いただいていると思うので、笑いながら読んでほしい。キャッチーなタイトルに釣られてここに来てしまった諸兄には、できれば苦い所を食べてみてほしいが、ま、喰う順番までは口を挟まないよ、安心してくれ。前置きが長くてすまんな。
 今までのおいらの論法だと、まず心構えから始まって、姿勢、持ち方なんぞに講釈をたれて・・・みたいな典型的くそジジイ論法だったんだが、キャッチータイトルついでに、逆にいくぞ。えへへ、美味しい所からだな。
 「エチュードをうまく吹く方法」「エチュードを早く仕上げる方法」なんて美味しそうだろ?

中級者向き、エチュードの吹き方(1)

 ここでいう中級者とは、まあ、アルテの第2巻を終えた位のレベルを考えている。「終えた」といっても色々あるが、理解できて、先生とデュエットできるくらいで充分だ。間違っても、YouTubeなんかに上っている腕自慢かなんか知らんが、あんな演奏、参考にしないでくれ。特にテンポな。確かに楽譜にメトロノームの数字が書いてあるが、そんなテンポで吹く必要は全く無い。あれ、聴いている時間があったら、さらうか、散歩に行くか、うまい飯を作るかしたほうが人生にとってプラスになるぞ。悲しいことにジジイには、ナンパという選択肢がない。
 なぜ、アルテの第2巻を基準にしたかというと、あの教本、上手く出来てんだよな。第2巻で、いわゆる「装飾法」の基本を全部学ぶことができる。すべての調が出てきて、基本的な奏法や読譜力を身につけることができる。と、言うわけだ。ちょいとわき道にそれるが、フルートクラブ版のアルテはデュエットが省略されていたり、1巻にはガリボルディのエチュードが付いていたり、2巻では15課で全調の退屈な音階とアルペジオ練習があり、終わりのほうでは妙なテレマンが加えてあったりしていて、終えるのにオリジナルより時間がかかってしまう。音階とアルペジオは大切な練習なので、#、bを3つまでにしておいて2巻に入ってから都度、他の調を練習したらいいと思う。オリジナル版でやるのが最も早く終えることができる。

じゃ、いくぞ。まず、エチュードの典型、十六分音符並んでいる系のヤツな。


こんなのや

Köhler Op.33 Nr.10


こんなのや

Andersen Op.33 No.1


こんなのや

Sussman 30 exercices


こんなやつ

Böhm op.26 Caprice Nr.1

十六分音符が最初っから終わりまで並んでいるこの手のエチュードは、山のようにあって、掃いて捨てたいほどだ。このタイプのヤツの練習の仕方だ。メトロノーム用意してね。
 あんまりびっくりするなよ。前回、計器に従うやつはアホだ、出ていけ! みたいなこと書いたけど、この手のエチュードは淡々とテンポを刻むメトロノームに乗っかって練習したほうが楽ちんだからな。指と頭を比べると、指のほうが少しお馬鹿さんだから、助けを借りるわけだ。そして、練習に入る前に次のことを確認しておいてほしい。
「初見で吹くとしたら、どの位のテンポで始めれば、間違えずに吹けるか」
個人差があるから、自分自身の最初のテンポは常に考えていたほうが良いだろう。たぶん60のテンポに音符二つくらいだろうな。おいらは、以前にやった曲でも、練習しなおすときは80のテンポに音符二つから始める。所見の能力はこなしたエチュードの量に正比例するから、別に60で始めなくても気にしなくていい。40でも間違えずに初見をこなせればブラボーだ。発射台を高くする必要は無い、大事なことは間違えずに、突っかからずに吹けるかどうかだ。ここで無理すると、えらくしんどい思いをするか、最後までいかずに挫折するからね。
 次回までに、このスタートのテンポを探しておいてくれ。

今日はここまでだ。次回からおが楽しみだ。

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