「音楽の話」カテゴリーアーカイブ

フルートの吹き方 装飾(1)

さてと、厄介な装飾について書くか。何が厄介かというと、音楽って、結局殆どが装飾から成り立っているから。狭義の装飾音には、トリル、モルデント、ターンなどの記号によって表されるものがある。さらに、小さな音符として書き込まれたもの、すなわち本来の小節内の拍数に含まれない音符が挙げられる。広義の装飾音はそれ以外の、譜面上に通常の大きさの音符として書き表されたもの、すなわち、拍数に含まれたものがある。BACHなんかに多いけれど、装飾の形が既に、通常の拍の中で、大きい音符として書き込まれている事がある。それだけではない、和声外の音には、それぞれ、それらしい名前が付けられている。経過音、刺繍音、倚音・・・名前が付けられているだけあって、それぞれ特徴を持っているが、いずれにしてもこれらも装飾音の一種だ。

さらに、「装飾音」ではなく「装飾」という概念で考えれば、スラーやスタカート、クレシェンド、ディミヌエンド、ディナーミク(フォルテ、ピアノ)ヴィヴラートもこれに含まれてくるだろう。そう、宝飾品や、衣装、靴だけでなく、お化粧もあれば、お肌の手入れ、髪型、髪の色、瞳の色、性格、教養、・・・血統、遺伝子とまでは言わんが、魅力を形作る要素は数えきれないくらいあり、その組み合わせは無限だ。おや、なんか脱線しそうだぞ。

小さい装飾音から、大きな概念の装飾について書いたが、これは別の意味で、点に施された装飾から、より大きな「歌う」という行為へ繋がっていく要素であるのが、お分かりいただけるだろう。胸元のダイヤモンドは魅力的にその人をも輝かせるが、それひとつでその人の魅力が完成するわけではない。だから、「ダイヤモンドの選び方」は、必要な情報ではあっても、「魅力の研究」には、まだまだ不十分だ。

「魅力の研究」つまり、「どう歌うか」こそが、本来、我々の興味の中心のはずだ。「トリルの付け方」「ヴィヴラートのかけ方」「バロック音楽の装飾法」等、一見、別個の情報も、すべて「どう歌うか」という文脈の中で解釈された時、本当に役立つといえる。

手始めにこれだけ書いておく。

装飾は、強調点に付けられる。装飾が付けられたところは強調点となる。強調点は緊張であり、緊張は不協和音によって導かれる。

音楽がそういった装飾に囲まれた魅力ある存在だとすれば、綺麗に飾ったお姉さんと、綺麗に飾ったお姉さんが大好きな・・と、さて、音楽が得意なのはどっちだろ?

ほらね、脱線した。

きょうはここまでだ。

別冊綴込 業界用語

生徒は、先生の一番悪いところを真似すると言いますな。別に先生だけじゃなくて、小さい子供を見ていると、何処で覚えてくるんだか、悪い言葉ばかり達者になるようです。音大なんてぇ所に入りますと、1年も経たないうちにお下品な業界用語を覚えてしまいますな。

「ヤノピのルーモとビータでシーメしたらデーマン」まあ、なんとお下品ざましょ。「ピアニストの彼女と旅行に行って食事をして2万円払いました」だ。

まず数字。1はツェー。以下ドイツ語読みで2がデー、3がエー、4がエフ、5がゲー、6がアー、7がハー、ジャズ系の人だとビーって言う。8はオクターブのオク、9がノインじゃなくてナインだ。どうも音楽家の頭では、ドイツ語の9までは覚えられないらしい。で、例えば、1000円はツェーセンだ。もともとはギャラの交渉に使われたんで、円は付けない。「取っ払いでゲーマン」って言えば、「税申告抜きの5万円」だ。テンパー抜かれるとエフゲーだ。または、エフ万ゲー千ともいう。ゲーセンったってゲームセンターじゃないから。

単語はだいたい逆さまにするが、完全に逆さまにしてはいけない。「仕事」は「ゴトシ」、「タクシー」は。「シータク」だ。だから「びっくり仰天」は「クリビツテンギョウ」になるわけだな。「チャンピオン」は「オンピチャン」だ、可愛いだろ? 2音節で逆さまにするときは、間に長音を加える。「飯」は「シーメ」、「旅」は「ビータ」だ。じゃ、1音節は? 「目」は「エーメ」、「歯」は「アーハ」。「誰かエーへしたろ!」みたいに使う。

しかし書いてて、なんと下品な言葉遣いかと、手が震えるよ、まったく。隠語の代表格は、アードゥとルーモだ。アードゥはdur(長調)の逆で、ルーモはmoll(短調)の逆、すなわち、アードゥは男、もしくは彼氏、ルーモは女または彼女を指す。舞台屋さんの業界用語が、から来た言葉も多いが、音楽界の用語として、皆平気で使っている「ゲネプロ」。あれは”Generalprobe”ドイツ語(総練習)の短縮形だ。ドイツでは短縮しない。当たり前と思うかもしれないが、ドイツだって短縮することがある。ゲシュタポは、”geheimnis Staatspolizei”(ゲハイムニスシュタァツポリツァイ=国家秘密警察)の略だ。これ、豆な。話、戻して、指揮者は「ボーフリ」。リだ。ラじゃないぞ。

さっきから、キーボードの手が止まってるんだが、いや、とても書けない言葉が山のようにあってね・・・書けないくらいだから、逆さまにしないと言えないんだけどね。止めとくわ。

個人的には、作曲家の名前や曲名に、逆さま語や短縮形を使うのは嫌いだ。実際、あまり使われていなかったように思う。取り違えると大変なことになるからかもしれない。「べとしち」とか「しべに」とか言うのは、アマチュアオーケストラの人に多い。「ベートーヴェンの七番」、「シベリウスの2番」って、ちゃんと言おうぜ。

きょうの、手抜きですまん。まねすんなよ。明日から、「装飾」について書く。これが厄介なんだ。

きょうはまでここ。

フルートの吹き方 アウフタクト(1)

アウフタクトを「弱起」と訳したのは誰よ? 直訳すれば、「上に向かう拍」な訳だから、「弱い」なんて意味は全く無い。運動の方向を、力の方向を言っているだけ。だから、どうせなら弱起って言うよりは、ジャッキって言ってしまった方が良かったかもね。冗談だよ!

強拍を振り下ろすためには、持ち上げとかなきゃならん。その持ち上げる拍がアウフタクトだ。日本人は特に苦手。だって、言語構造がそうなってんだもん。前置詞も冠詞もないんだからしょうがない。だから古い唱歌の類はみんな1拍目から始まる。「桜ぁ、桜ぁ、弥生の〜」「はぁるの小川はさらさら〜」「はぁるのぉうらぁらぁのぉ〜」もう、全部と言っていいくらい。やっと見つけたアウフタクトの曲は、「浜辺の歌」。でもさぁ、「あーしー、たーは、まーべーえを」じゃ、粋がって業界用語使いまくりのお兄さんみたいだよな。英語でも、ドイツ語でも、イタリア語でも、たぶんフランス語でも、冠詞や前置詞があってそれがアウフタクトの役割を果たしている。”on the desk“、”in the room“だな。それを発音しながらタクトを振ってみるとよくわかる。赤字が一拍目だ。次に、「机の上」、「部屋の中」で振ってみようか。ね、無理。だって、「の上」、「部屋の中」だもんな。だから、アウフタクトには気をつけようね、意識して取り組もうねって話。なんだが、このままじゃつまらないから、日本語で振れるアウフタクトを考えて見た。形容詞や、副詞句を加えるとそれっぽいのが出来るぞ。
「ダメな」「バカな」「酔っ払って寝る」「あっち、行けよ!」「えっ!聞いてません」どうだ!?

じゃ、最後に宿題だ。”Happy birthday to you” を振ってみてくれ。

今日はここまでだ

フルートの吹き方 アウフタクト(2)

宿題の答え合わせやろか? 簡単だった? そうか、すまん。


だよな? 日本人なら。
でも正解はこっちだ。


Happy→Birthday、To→You、Dear→〇〇、が、アウフタクトと1拍目の関係だ。この方が言葉と音楽とがマッチするだろう。さらに、歌うと、アウフタクトが決して弱拍ではないことが分かる。このことは明日述べる。最初の譜面は、各小節線の上で休むことができるけど、正しい譜面では、小節線の上で休めない。これがものすごく大事な所だ。前にも書いたが、小節線の上で息を取ることがどんなに犯罪的な事かがわかるだろう。旋律線を感じるときには、日本人の言語頭脳はきっぱり、捨てておかなければならない。

でも、最初に挙げた譜面だって、音楽的にはあり得る。ポロネーズみたいでいいじゃん。そっちを選んだとしても、落ち込む事は無いよ、こんなの書いたから元気出せよ。

これで、少なくとも、奇数小節から偶数小節に行く時に息を取ることはできなくなったはずだ。

ところで、こうはしなかったよな?

まあ、To→You、Dear→〇〇、でアウフタクトがいい感じだけどね。ちょっとねぇ。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 アウフタクト(3)

さて、アウフタクトがどういうものかは、第1回目に書いたが、どう演奏するのかについて少しだけ書いておこう。

アウフタクトは、持ち上がっていく拍だ。昇りつめた頂点が、小節線だ。そこで静止することなく、一気に降りて来て1拍目だ。だから、アウフタクトが1拍目につながる瞬間、すなわち小節線の上は、エネルギーが溜まっていて、不安定、まさに緊張状態だ。そんなところで、呑気に息なんか吸って居られる訳がない。でしょ?そして、その頂点に向かって、自然なクレシェンドが起こるはずだ。息取りのところで述べたように《息の取り方(1)(2)》、しゃがんだ状態から伸び上がる動作と一致する。これは動作からすると決してディミヌエンドではない。そして《息の取り方(7)》も思い出して欲しい。この記号だ。

ね。後半のクレシェンドがアウフタクトだとすると、息取りは当然その前だし、逆もまた真也で、息取り後は自然にクレシェンドだ。ここでヴァイオリンを考えてみよう。何の知識もなくていい。ボーイングにはアップとダウンの2種類がある。オーケストラではこれをきっちり揃える。これは見た目だけでなく、アップとダウンの音の性格が全く違うからだ。弓先で弾くときには手元から遠く、力が入りにくい。逆に手元では、手の重みが加わりやすいので、音は大きくなる。さて、アウフタクトを弾くときに、自然な動作は、アップかダウンか。1拍目はやはりダウンで弾きたいだろうから、アウフタクトは当然アップだ。動作的にも、逆は考えにくいだろう。アップは弓先から手元に向かって弾いていく、つまり、ヴァイオリンのアウフタクトには、自然なクレシェンドが内包されている。というわけだ。オーケストラで弦楽器のセクションが、あーだ、こーだとボーイングで話し合っているとき、「私、関係無いも~ん」って、言わずに、ちょっと耳を傾けてみよう。フルートの吹き方の参考になる話が聞けるかもしれない。

オーケストラついでに、「運命」の冒頭、あなたが指揮者だったらどう振る? 4分の2拍子、1小節はひとつに振る。(日本人の駆け出しの指揮者だとまともに振れないのが多いよ。オーケストラも日本人だからな。)なぜなら、譜面はこうなっているからだ。

最初の3つの八分音符がアウフタクトだ。最初の休符を分かるように振り、長い二分音符が最初の着地点になるように振る。八分音符3つはクレシェンドであり、二分音符の音が一番大きい音だ。ダダダダーン じゃ判んねえよな。最初のダが一番大きい音に読めちゃうもんな。ま、強いて書くなら ッダダダーン だな。譜面を見て、振る練習をしてみてくれ。どんな振り方でもいい、これならオーケストラ全員が出られるだろうと思えたら、それが大正解だ。アウフタクトはそのように吹けばいい。

きょうはここまでだ。

寄り道 伝説の写譜屋さん

昨日、手書きの譜面について少し書いた。歳がばれるからあまり書きたくないが、大学生の頃はまだコピー機は普及してなかった。だから、図書館で見つけた貴重な楽譜は写譜するしかなかった。会社などには、青焼きというコピーがあって、それで楽譜をコピーすると、紫外線のせいか、数カ月も持たなかった。真っ白になっちまうんだよ。それに、このコピー、仕上がりは濡れてたな。

写譜(手書き)の要点は、楽譜の読みやすさだ。音符ひとつひとつの高低や長さだけでなく、まとまった音符の読みやすさも重要だ。これは、前から書いてきた、楽譜の読み方と同じ理屈だ。そして、フレーズの見やすさと、改段、改頁の関係など、とても奥の深い世界だ。それは奏者のイマジネーションをも左右するほどだ。楽譜のソフトもかなりの性能を持つようになったので、スコアが打ち込んであれば、ポン!で一応パート譜が作れるようにはなった。しかし、これをプロの写譜屋さんの譜面と比べると、もう、ぜんぜんダメ。良い譜面というのは音楽そのもので、音楽のイメージを表現している。そう、楽譜から暖かい風が吹いてくるんだ。だから、このような時代になっても、音楽を次から次へと生産していかなければならない現場からは、手書きの譜面が無くなることは無い。まあ楽譜ソフトでも、時間をかけて成型すれば、売られている楽譜のようにきちんとしたものを作る事は出来るけど。暖かい風までは、どうかな。

で、写譜屋さんという職業がある。作曲家や、編曲家が書いたスコアをパート譜にする職業だ。スタジオ録音なんかでは、ギリギリに曲が仕上がってくることが多く、写譜屋さんが大活躍する。その仕事は、読みやすく書くだけでなく、速い、とにかく速い。で、伝説の写譜屋さんが登場だ。彼は、作曲家がスコアを書いているその向かい側から譜面を見て、書いていく先からそれをパート譜にしていったという。譜面台に楽譜を逆さまに立てて吹いてみるとその能力のすごさが良く分かる。

しかし、実はそんなことで驚いてはいられない。あのモーツァルトは、弦楽四重奏の楽譜を、スコアを書かずにいきなりパート譜から書き始めたという。えっ!!! 絶句!

写譜屋さんの書き方とは大分違うが、我々が手書きで譜面を書くときのコツを少し書いておく。好みの問題もあるので、ベストとは言えないが・・・
鉛筆で書く。HBでいい。譜頭(玉)は小さく書く、鉛筆の芯の太さくらいで充分、点、まん丸でいい。線間の音符は線に接しないように書く。譜尾は、原則1オクターブだが、いくらか長めのほうがいい。譜尾は、譜頭と接するか接しないかの地点から細く弱く書き、止めるところでしっかりと書く。クレシェンドで書く感じだ。譜尾と桁に定規は使わない。小節線と(デ)クレシェンドには使ってもよい。加線の上に出る音符は、加線から離して書く。(加線に接しない)どうだろう、これだけでだいぶ読みやすい譜面が書けるはずだ。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 練習(1)

もう一回脱線しよっかな、と思ったけど、元に戻れなくなりそうだから、真面目になる。さて、大っ嫌いな「練習」について書く。みんな、朝から晩までフルート吹いてられないでしょ? だから、いかに少ない時間で効果を上げるかについて書けば、少しは役に立ててもらえるんじゃないかと・・・

きょうは「ゆっくりさらう」だ。どんな先生でも言う台詞だけど、徹底するのはかなりの自制心が必要だ。例えば、目標のテンポで99回さらって間違えて、100回目に間違いなく吹けるようになった。じゃあ101回目はどうなのか? たぶん、間違えるよな。賭けようか? すごくゆっくりのテンポから間違えずに吹いてきて、100回目に目標のテンポで吹けるようになった。これなら、たぶん、101回目もOKだ。これは、単に「ゆっくりから」というだけでなく、「練習の時から間違えるな!」ということを言っている。正しく吹けた回数-間違った回数が、プラスじゃなきゃ練習したことにならない・・・としたら、間違えたら損だろ?

で、メトロノームを持ってくる。でもテキトウにテンポを設定しちゃだめよ。「初見でも間違えずに吹けるテンポ」あらかじめ知っておくといいだろうね。初・中級者だと40~60に音符ふたつ、上級者で80位かな。遅いだろ?それでいいんだ、そんなところで見栄張ってもしょうがないから。それで最後まで吹いてみる。退屈だけど、真面目に吹けよ。音楽的にだ。途中、難しそうなところを鉛筆で囲む。あの、楽譜に書きこむのは絶対鉛筆な。昔はレッスンに鉛筆持ってないと、先生にブッ飛ばされたもんだ。俺、気が弱いから教室に沢山用意してるけど。シャーペンもだめだ。出来れば2Bくらいで、3カ月は削ってないだろうな、位なのがベストだ。臨時記号読み損なって、次回も間違えそうだったら、すぐに記号を書き込む、でっかくな。よく楽譜の記号と同じくらいの大きさで書き込んでる人居るけど、折角見つけた”怪しいポイント”だから、これ見よがしに書いといたほうがいい。後で消す必要が出たときも、消しやすい。同じフレーズや、再現部があったらこれも分かるようにしておこう。同じフレーズを二度さらうと時間がもったいない。だから、こういうときは差分を取っておくようにする。そう、書き込んどくんだ、分かれ道を。一回目で、これをやっておく。遅いテンポなら余裕ができるから、吹きながら音の出し方や、姿勢もチェックできるはずだ。これで練習の半分は終了だ。一日目はこれだけで終わりにしようぜ。後は楽なもんよ、少しずつ速くしていきゃいいんだから。最初は時間がかかるけど日を追うに従って飛躍的に吹けるようになる。メトロノーム、最近はほとんどデジタルだから、テンポが1ずつ変わるけど、40から60までは2刻み、60から72までは3刻み、72から120までは4刻み、120から144までは6刻み144から208までが8刻みだ。1ずつ上げていってもいいけど、気が狂うぞ。もちろん速くなったら、半分にして音符4つにして続行な。難しかったら、スラーは全部無しだ。でも、付けるんだったら正確に読む習慣をつけようね。これ、いい加減に読む癖付けると、後で苦労するよ。

あ、思い出した。習いたてのころ、師匠のK氏はメトロノームかけて俺に練習させて、隣の部屋で飯食ってたな。分からんだろうと思って、メトロノームぐぐっと速くしてやったら、隣の部屋から罵声が飛んできた。曲は「ベニスの謝肉祭」だった。

ある程度テンポが上がってきたら、「どれくらい速く吹けるようになったかなぁ?」って、悪魔が囁く。絶対、我慢だ。

ところで体操選手って、どういう練習してんだろ? いいよな俺たちは、間違えたって首の骨折る事は無いもん。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 練習(2)

まあ、どれだけ丁寧にさらっても、ふと、できない所が出現したりする。そんなとき、メトロノームをセットするのも面倒くさいってこともある。そんな人のために、あるいは、メトロノーム忘れたとか、そんなもの持ってないとか、見たこともないっていう人のために、必殺の練習法を公開する。あ、私、「常に面倒くさいと考える人」の味方だから。単に「面倒臭い人」は、勘弁な。

例えば、こんなところで急に指がもつれちゃったとしようか。3オクターブ目のFis(ファ♯)~ Gis(ソ♯)あたり、嫌だよな。

そういう時は、まずよろしくない音を特定して、3つか4つ抽出する。今回はこれを抽出。

 

これを、このように練習する。フルートの吹き方 癖(4)でチラッと触れたやり方だ。

一息で続くだけ繰り返すんだが、最初はゆっくり、だんだん速くしていって、まただんだんゆっくりにして最初のテンポに戻る。速いと言っても、あくまでもコントロールの効いている速さだ。べらぼうに早く吹く必要はないぞ。そして、きちんと真ん中で折り返し、前後のサイズが同じになるようにする。ま、2~3回やってみ。それで、譜面通りに吹いてみる。あらら、不思議!! ちゃんと吹ける!!! ほんとだって。

アルテの2巻くらいになると、やたらと替え指を使えと言ってくる。余計なお世話だ。運指を簡単にする替え指は、使わない方がいい。絶対に音が汚くなるから。トリルの運指はしょうがないんだが、それでもトリルの最初の1回はできれば正しい運指で始めたい。それに引きかえ、音程を修正するための替え指は、使ってもよいと思う。

特に3オクターブ目のフォルテで音程を下げる替え指と、ピアノで音程を上げて尚且つ発音をよくする替え指はアリだ。オケでは必須だ。いずれ、書こうと思っている。

特にFis(ファ♯)で中指を使うのは、絶対にトリルだけと決めておこうぜ。右手の小指を離すのは、1,2オクターブのD(レ)と3オクターブ目のH(シ)B(シ♭)、そして4オクターブ目の音だけだ。3オクターブ目のH(シ)B(シ♭)は、右小指を離さないと音程が低くなってしまう。

2オクターブ目のD(レ)Dis(レ♯)では、必ず左手の人差し指は離す、3オクターブ目のGis(ソ♯)もだ。

ついでに言っておくが、2オクターブ目のD(レ)-E(ミ)と、Dis(レ♯)-E(ミ)のトリルは、左手の人差し指を離していると、E(ミ)がバカみたいな音になってしまうから、最初の一回目に閉じて、次の瞬間0.1ミリ開けてやるんだ。完璧なトリルになる。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 練習(3)

フルートの練習を始めてしまうと、他のことはできない。普通は。学生時代に、金管の連中が漫画やエ〇雑誌を譜面台に置いて練習してるのよく目撃した。「簡単な楽器なんだな」と。そういえば、昔、ある有名なバイオリニスト女史が、何をトチ狂ったか雑誌のヌ〇ドグラビアに御成りになりまして、オケの練習の最中に、たぶん金管方面から回ってきた。椅子から転げ落ちる者、トイレに駆け込む者、吐いて譜面台を汚す者、大混乱となりました。

まじめにやるぞ。で、他のことをやっていても、フルートの為になる練習がある。まず、薬指。バカ息子のように、言う事を聞かない薬指。ピアニストに教わったやり方。手の力を抜いて、机の上にピアノを弾く時のようにそっと置く。最初は手首も机に付いていて良い。5本の指が軽く机に付いている状態から、薬指だけを1センチくらい持ち上げてやる。力を入れるなよ、他の指も動かないように。それだけ。慣れてきたら、リズミカルに、そして手首を上げてやってみよう。仕事しながらでも出来る。説教聞きながらでもできる。電車の中でもできる。ピアニストは、黒鍵に薬指を届かせなきゃならんので、薬指の前に消しゴム置いて、そこに指を乗っける練習してた。

次。犬の真似だ。暑いとき、犬がハァ、ハァって息してるだろ。あれの真似だ。深い呼吸でなくていいから、リズミカルに、何分も続けられるようにやる。喉や胸の力を完全に抜こう。舌は出さんでいいぞ、犬になりたいわけじゃないから。これは、説教聞きながらはやらんほうがいいだろうな。電車の中も止めとけ。そうだ、ついでに。どうせなら、犬の眼の練習をしてみようか。これ、出来たら、世の中ほぼ自分の思い通りになると思う。犬の眼で見つめられて、Noと言える人は居ない。俺はできない、まだ、もう少し。

ダブルタンギングだ。tu-ku-tu-ku なぁんて書いてあるけど、ちょっと固いよな。吹き方や、音の立ち上がりにも依るんだがデ-ゲ-デ-ゲ位でいいんじゃないか。シュミッツ博士は、テに近いテュとケに近いキュ(書くと難しいが)、でやれって言ってた。それを、tktと ktk の3連符で連続して発音するんだ。小さい声でいいぞ。3連符の最初のtとkには少しアクセントをつけておいた方がいいだろう。昨日、書いた3連符の練習法と同じだ。口の力を完全に抜いて、下あごに涎がたまっていく感じだ。フルートで吹く時は、ダブルは t→k じゃなくて k→t でやるといい。難しいが、圧倒的にきれいに聴こえる。

洗面所で鏡を見たら、うっとりする前に、完全に顔の力を抜いて、いわゆるバ〇面をしてみようう。口、開いちゃう人は・・・軽~く閉じてね。さあ、その顔で吹けるように覚えておこう。1秒練習だ。

眼の練習するんで・・・

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 練習(4)

「基礎練習」って言葉が大嫌い。語感が、何か退屈なことを我慢してやらなきゃならんような、嫌な響きだ。サッカー部で腕立て伏せ100回とか言われている感じだ。もし頭の中で「何これ、無駄じゃん」って思ってたら、やらぬがよろし。意味が理解できていて、やってて楽しければ、それはきっと役に立つ。そこで、いわゆる「基礎練習」にはどんなものがあるのか、そしてその要点について書いてみようと思う。

まず、ロングトーンだ。誰でも言う、「ロングトーンが、音色向上の役に立つ」って。それほんとかよ? 確かに、ロングトーンをやって、音色が悪くなることは無いだろう。でも、音色の向上の、目的で練習するなら、ロングトーンよりも効果的な練習法がある。あるいは、ロングトーンよりも前にやることがある、と言ってもいい。詳しくは、前に書いた「良い音を出すには(1)~(7)」を読んで欲しい。

で、ロングトーンの本来の目的は「音のコントロール」だ。だから、クレシェンドとディミヌエンドを組み合わせたり、ビブラートの緩急を組み合わせたりする。例えばこんなやり方だ。あくまでも一例だからね。1オクターブ目のH(シ)でやる。音の出だしは雑音の全くない音で、ボリュームゼロからクレシェンド、消えるときも、ディミヌエンドしていって、雑音無しのボリュームゼロで終わる。例えばこれを、クレシェンドとディミヌエンドは同じ長さになるように。出来たらこの逆。そして、ビブラートの緩急を組み合わせてやってみる。緩-急-緩、急-緩-急と組み合わせれば、音1個で4種類のロングトーンだ。これ、ちゃんとやったらものすごく難しく、ものすごく疲れる。静かな場所と、研ぎ澄まされた神経が必要だ。ねぇ、毎回、毎回、練習の初めにベ~って伸ばしてるだけなら、そのやり方、考えたほうがいいよ。楽器があったまって、自分の吹き方になってきて、集中力が高まった、その時にやる。それも高いモチベーションの日だけやる。

ロングトーンとビブラートについては、とても重要なので、改めて項目を立てて書いていこうと思う。いずれにしても、練習は苦しくなったら止めようぜ。楽しくなかったら止めようぜ。そうすると、自分が何者かがだんだん解ってくるんだ。どんだけ、真面目で、どんだけ駄目かがね。そうしたら、工夫の余地が生まれる。そして自分だけの練習法が生み出せる。それが最強。教わった通りに、苦しい練習を5時間耐えられる奴よりも、4時間59分デートしちゃって、最後の1分反省する奴の方が俺は好きだな。いいよ、レッスンでそのデートの話聞いてやろうじゃないの。

基礎練習ってまだまだある。全部やったら3時間は必要なくらいある。少しずつご紹介しようと思う。毎日、決まったルーチンを繰り返せる人から見たら、馬鹿みたいな話ですまん。何回も練習嫌いだと宣言しているんだが、それでもやるときはやるんだよ。今まで、最高にやったのは一日14時間だ。8時間くらいやると、唇の力がうまい具合に抜けて、いい音がするんだ。楽しかったね。唇の力が抜けません!って言ってる人、イチかパチかでやってみるか?

きょうはここまでだ。