「楽譜」カテゴリーアーカイブ

フルートの吹き方 楽譜(1)

楽譜をいかに素早く読むかというのは、大方の関心事だと思う。つっかえ、つっかえ吹いていると、傍らの先生が露骨にイライラしてきて、聴こえるように溜息なんかつかれたりしてさ、月謝払ってるのこっちなのにな。皆、仕事もあるし、勉強もあるし、突発的な用事もできる、一日中フルート吹いていられるほどお気楽な身分の人はそうはいないだろうから、「練習不足」の一言で片づけられたら、溜息が出るのはこっちの方だ。あぁ、これだけで100いいね!獲得だろ?

「自分の吹いている所よりも、常に先の音符を見ていなさい!」って言われたことないか? そんなの無理だって。そんなことしようとしたら、頭のCPUほとんど使っちゃうから、馬鹿みたいに疲れるぞ。それに楽しくないしな。楽譜が素早く読めない人の特徴は、オタマジャクシの頭を順番に読んでいこうとするんだな。それで、速い、細かい音符を読んでいったら、凄い動体視力が必要だ。フルートより野球のほうが合ってるな。「楽譜の速読ソフト」なんてのをチラッと見かけたことがあるが、〇の役にも立たたんぞ、止めとけ。

朗読を考えてみようか。すらすらと、流れるように朗読するためには何が必要か。文字を一個一個読んで、発音していったらアウトだろ?最低でも単語単位、出来れば文節単位で認識する事ができれば、かなりすらすらと朗読できる。さらに、その時に個々の単語の意味、文全体の意味が把握できれば、色々な読み方もできる。NHKのアナウンサー風とか、悲しそうにとか、思いっきりく臭ぁく、演技を付けて朗読することもできる。だから、全部ひらがなで書かれると物凄く難しくなる。ま、楽譜はその状態だと思ってくれ。

で、やっと、楽譜はどう読むんだという話だ。「楽譜は、音符の”かたまり”を読め」だな。そんなに楽譜に近づかないで、いくつかの音符の塊りを一度に認識するんだ。それしか無い。この時注意してほしいのは、小節単位で塊を認識するのではなく、あくまでも「意味のある塊」を単位にするんだ。多くの人は小節線に騙される。そこに大きな節目があるように見えるからね。しかし、小節線には音楽上のたいした意味はない。小節線を超えるときに負荷がかかってはいけない。それから、「意味のあるかたまり」なんだから、スラーやスタカートなども含めて認識してしまうんだ、言葉のようにね。

では、その「意味のある塊」とはどんなことか。例えば、「ここからここまでは〇調の音階」「ここからここまでは半音階」「~アルペジオ」「~定型的な終止形」そんな風なとらえ方だ。難しいと思うかもしれないが、それ以外にない、だから、経験によって楽譜は読めるようになる。

どんな経験をすればより効果的か。次回、もっと詳しく書くが、音階練習、アルペジオなどの練習だ。音階練習というと、「指を回す為の練習と思っている人が多いが、絶対違う。だからタファネル&ゴーベールなんか、あんまり良くない、あれ、音階練習じゃないな。あれじゃ、音階身につかない。今、自分の吹いている曲が、「何調で書かれている」のか、位は最低限分かっていなきゃならんぞ。「今、何調か」が分かればもっといいが、その前に冒頭の調号だけはちゃんと読めよ。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 楽譜(2)

昔、ハンス・ペーター・シュミッツ博士のクラスにいた頃、何人かで初見大会をやったことがある。誰もやったことのないようなエチュードを引っ張り出してきて、最長不倒距離を競うわけだ。この時の結果から導かれたのは、「こなしてきたエチュードの量に比例する」だった。初見が利くからと言って、何か自慢できることでもない。強いて利点を挙げれば、ゆっくりから始める曲の練習のスタート地点のテンポを、いくらか速めに設定できるというくらいだろうか。プロになれば、仕事でそれなりの初見能力を必要とする場面に出っくわすことも多いのだが、初見での演奏なんて、所詮演奏しっぱなしの薄っぺらなものでしかない。音楽的な価値はもっと崇高なものであって欲しい。何度も言うが、音楽的な価値という点において、プロもアマも違いはない。プロにはより重大な責任があるという事だけだ。

さて、昨日少しだけ触れておいた「音符のかたまり」だが、それを認識するには、初歩的な楽典の知識も必要になってくる。音階練習やアルペジオの練習ををやるにしても、調号と調名、主音、属音(音階の主音から5度上の音)、下属音(音階の主音から5度下の音)、できれば7度の音までサッと言えるようだと素晴らしい。これらは頻繁に出てくる。転調されたときにもこれらは有効に作用する。記号として書かれた装飾音だけではなく、音符として書かれた装飾の形を読み取る能力もあったら楽だろう。それらの知識があると、臨時記号に素早く対処できる。ある臨時記号が、「転調された」からなのか、あるいは「単純に経過音や装飾音として半音上(下)を出させたい」だけなのかを読み取れれば、臨時記号なんか怖くない。ただ、書かれたとおりの#、♭、♮ひとつずつに忠実に反応していたら、ダブルシャープやダブルフラットになると、もうお手上げになってしまうだろう。

音階練習は、例えば一日にひとつの調で、上り下りを全音域でゆっくりやるのが良いだろう。何年か続けると、主音、あるいは調号を思い浮かべるだけで指が勝手に音階通りに動いてくれるようになる。全部の調だ。半音階は、3つずつ4つずつの区切りで、12音全てのスタート地点で練習するとよい。さらに、あまり行われていないようだが、減七の和音の練習はやっておくべきだと思う。減七とは、全ての音程差が短三度になる4つの音からなる和音で、c-es-fis-a(ド・ミ♭・ファ#・ラ)と、cis-e-g-b(ド#・ミ・ソ・シ♭)と、d-f-as-h(レ・ファ・ラ♭・シ)の3種類しか存在しない(あとは展開型で同じ)。12の調があるにもかかわらず、3種類しかないのだから、臨時記号を伴って物凄く頻繁に登場する。でも、3種類しかないのだからやっておけばとってもお得だ。皆の好きな、ケーラーのエチュードには山のように出てくるぞ。

これらを全部を毎日やろうと思わないでくれ。せいぜい30分もやれば充分だ。それより、日頃からごく簡単なアナリーゼの習慣をつけておくのが良い。難しいことを言っているようで気が引けるが、それが最も楽譜を苦手にしない方法だ。それをするのとしないのとでは、同じエチュードを練習していても、その効果がはっきり表れる。アナリーゼといっても正確じゃなくていい、自分勝手な解釈で構わないから、臨時記号などの意味を理解して吹くようにしたら良い結果を必ず生む。もし分らなかったら、先生にどんどん聞こうよ。それが先生の役目なんだから。

あれ?俺、たしか、練習大っ嫌いって、言ったような気がする・・・

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 楽譜(3)

昨日はちょっと難しかったな。すまん。だから今日はちょっとしたTIPだ。その前に、昨日の減七な。譜面の用意ができた。なるべく読みやすい臨時記号で書いた。それぞれを展開すれば、起点をどこにおいても同じ和音だ。

これをこんな風に練習すると良いんだが・・・親切に3種類書いといた。これ、自分で続きを書いてもいいが、覚えちゃう方が早いぞ。てっぺんは、4オクターブ目のC(ド)でいいだろう。この和音の響きは無調で、ちょっとエキゾチックだから、楽しいぞ。

起点C(ド)

起点Cis(ド#)

起点D(レ)

 

TIP-1 加線について。フルートは単旋律で、移調楽器でもないし、下に加線が無いから超・楽な楽器だな。それでも上の加線を、6本位までは読まなくちゃならん。ただ、人間が瞬間に認識できる数は4までというのを、どこかで読んだ。だから、昔は札を数えるとき4枚ずつ数えたらしい。生憎、そんな札なんか数えたこと無いけどな。で、加線4本はG(ソ)だ。その上に乗っかってりゃA(ラ)だ。これをまず覚えてしまうんだ。で、加線が多くて「えっ!」と思ったら、H(シ)だ。「うわっ!」と思ったらD(レ)だな。これ、結構、真面目に言ってるんだよ。

TIP-2 楽譜から離れろ。車の免許取りたてはやっぱり下手、で怖い。遠くが見えてないからな。慣れるにしたがって、視野が広がる。楽譜も同じだ。視野が広がれば、スラーがどう架かっているのか、次の息取り、休止符はどこなのか見えてくる。さらに、フレーズ、形式、曲の構成まで見えてくれば、余裕ってもんだ。ついでに言うとな、もっともっと離れると、一日の中での練習のあり方とか、フルート人生の中でのその曲の位置とか、自分の人生の中でのフルートの位置とかも見えてくるはずだ。これはいつか改めて書くことにする、哲学的なんでな。

TIP-3 あくまでも原則的にだが、ゆっくりの楽章は、全体がp(ピアノ)であり、活発な曲は全体がf(フォルテ)である。そして、p(f)で始まった曲はp(f)で終わる。曲の終わりが、消えるように終わるのか、吹き切って終わるのか、きちんと意識しておくんだぜィ。

TIP-4 独習者に多い間違い。自分がレッスンをしているから言う訳ではないが、独習は、薦めない。こうしてフルートの吹き方を書いていても、独習で良く吹けるようになるとは、正直思っていない。コンピュータみたいに、昨日や今日できた機械だと、使うだけなら独習でもいいかもしれない。洗練された教授法・メトードがあるわけじゃないから。でも、楽器は何百年という伝統の中で、音楽という芸術に貢献してきた。それなりの、学習方法が幾多の試行錯誤によって確立されてきた。それを利用するのは、単に合理的とか、手っ取り早いというだけでなく、楽器や、音楽に対する敬意の問題でもあると思う。
独習者に多い間違いを、楽譜関係だけに限って書くと
1:長い音符・休符の長さがテキトウ
2:小節線の上で音楽が止まる
3:スラーがテキトウ
4:拍の概念が曖昧(何音符を1拍に取るのか、あるいは今、1拍が何音符なのか)

これらは、第三者の耳を必要としており、本や、WEBでは決して解決できない問題だ、音楽だからな。

今日はここまでだ。