「アウフタクト」カテゴリーアーカイブ

フルートの吹き方 アウフタクト(1)

アウフタクトを「弱起」と訳したのは誰よ? 直訳すれば、「上に向かう拍」な訳だから、「弱い」なんて意味は全く無い。運動の方向を、力の方向を言っているだけ。だから、どうせなら弱起って言うよりは、ジャッキって言ってしまった方が良かったかもね。冗談だよ!

強拍を振り下ろすためには、持ち上げとかなきゃならん。その持ち上げる拍がアウフタクトだ。日本人は特に苦手。だって、言語構造がそうなってんだもん。前置詞も冠詞もないんだからしょうがない。だから古い唱歌の類はみんな1拍目から始まる。「桜ぁ、桜ぁ、弥生の〜」「はぁるの小川はさらさら〜」「はぁるのぉうらぁらぁのぉ〜」もう、全部と言っていいくらい。やっと見つけたアウフタクトの曲は、「浜辺の歌」。でもさぁ、「あーしー、たーは、まーべーえを」じゃ、粋がって業界用語使いまくりのお兄さんみたいだよな。英語でも、ドイツ語でも、イタリア語でも、たぶんフランス語でも、冠詞や前置詞があってそれがアウフタクトの役割を果たしている。”on the desk“、”in the room“だな。それを発音しながらタクトを振ってみるとよくわかる。赤字が一拍目だ。次に、「机の上」、「部屋の中」で振ってみようか。ね、無理。だって、「の上」、「部屋の中」だもんな。だから、アウフタクトには気をつけようね、意識して取り組もうねって話。なんだが、このままじゃつまらないから、日本語で振れるアウフタクトを考えて見た。形容詞や、副詞句を加えるとそれっぽいのが出来るぞ。
「ダメな」「バカな」「酔っ払って寝る」「あっち、行けよ!」「えっ!聞いてません」どうだ!?

じゃ、最後に宿題だ。”Happy birthday to you” を振ってみてくれ。

今日はここまでだ

フルートの吹き方 アウフタクト(2)

宿題の答え合わせやろか? 簡単だった? そうか、すまん。


だよな? 日本人なら。
でも正解はこっちだ。


Happy→Birthday、To→You、Dear→〇〇、が、アウフタクトと1拍目の関係だ。この方が言葉と音楽とがマッチするだろう。さらに、歌うと、アウフタクトが決して弱拍ではないことが分かる。このことは明日述べる。最初の譜面は、各小節線の上で休むことができるけど、正しい譜面では、小節線の上で休めない。これがものすごく大事な所だ。前にも書いたが、小節線の上で息を取ることがどんなに犯罪的な事かがわかるだろう。旋律線を感じるときには、日本人の言語頭脳はきっぱり、捨てておかなければならない。

でも、最初に挙げた譜面だって、音楽的にはあり得る。ポロネーズみたいでいいじゃん。そっちを選んだとしても、落ち込む事は無いよ、こんなの書いたから元気出せよ。

これで、少なくとも、奇数小節から偶数小節に行く時に息を取ることはできなくなったはずだ。

ところで、こうはしなかったよな?

まあ、To→You、Dear→〇〇、でアウフタクトがいい感じだけどね。ちょっとねぇ。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 アウフタクト(3)

さて、アウフタクトがどういうものかは、第1回目に書いたが、どう演奏するのかについて少しだけ書いておこう。

アウフタクトは、持ち上がっていく拍だ。昇りつめた頂点が、小節線だ。そこで静止することなく、一気に降りて来て1拍目だ。だから、アウフタクトが1拍目につながる瞬間、すなわち小節線の上は、エネルギーが溜まっていて、不安定、まさに緊張状態だ。そんなところで、呑気に息なんか吸って居られる訳がない。でしょ?そして、その頂点に向かって、自然なクレシェンドが起こるはずだ。息取りのところで述べたように《息の取り方(1)(2)》、しゃがんだ状態から伸び上がる動作と一致する。これは動作からすると決してディミヌエンドではない。そして《息の取り方(7)》も思い出して欲しい。この記号だ。

ね。後半のクレシェンドがアウフタクトだとすると、息取りは当然その前だし、逆もまた真也で、息取り後は自然にクレシェンドだ。ここでヴァイオリンを考えてみよう。何の知識もなくていい。ボーイングにはアップとダウンの2種類がある。オーケストラではこれをきっちり揃える。これは見た目だけでなく、アップとダウンの音の性格が全く違うからだ。弓先で弾くときには手元から遠く、力が入りにくい。逆に手元では、手の重みが加わりやすいので、音は大きくなる。さて、アウフタクトを弾くときに、自然な動作は、アップかダウンか。1拍目はやはりダウンで弾きたいだろうから、アウフタクトは当然アップだ。動作的にも、逆は考えにくいだろう。アップは弓先から手元に向かって弾いていく、つまり、ヴァイオリンのアウフタクトには、自然なクレシェンドが内包されている。というわけだ。オーケストラで弦楽器のセクションが、あーだ、こーだとボーイングで話し合っているとき、「私、関係無いも~ん」って、言わずに、ちょっと耳を傾けてみよう。フルートの吹き方の参考になる話が聞けるかもしれない。

オーケストラついでに、「運命」の冒頭、あなたが指揮者だったらどう振る? 4分の2拍子、1小節はひとつに振る。(日本人の駆け出しの指揮者だとまともに振れないのが多いよ。オーケストラも日本人だからな。)なぜなら、譜面はこうなっているからだ。

最初の3つの八分音符がアウフタクトだ。最初の休符を分かるように振り、長い二分音符が最初の着地点になるように振る。八分音符3つはクレシェンドであり、二分音符の音が一番大きい音だ。ダダダダーン じゃ判んねえよな。最初のダが一番大きい音に読めちゃうもんな。ま、強いて書くなら ッダダダーン だな。譜面を見て、振る練習をしてみてくれ。どんな振り方でもいい、これならオーケストラ全員が出られるだろうと思えたら、それが大正解だ。アウフタクトはそのように吹けばいい。

きょうはここまでだ。