やってはいけない!・・・(1)

「買ってはいけない」という本が一時期売れていたようなんで、フルート「やってはいけない!」シリーズだ。ま、話半分で呼んでくれ。とんがるなよ。尤も、『「買ってはいけない」は嘘である』って本もあって、こっちはAmazonで1円で売ってたから、とんがると負けだよ。

1)心の核に傷をつけないこと
いきなりすごいこと書いちゃう。「どんなに心配事や悩み事があっても、その苦しみを心の核に届かせてはなりません。」 これはハンス・ペーター・シュミッツ博士が最初のレッスンで、最初に私に教えてくれたことだ。そのまま皆さんにお伝えしておく。多感な若者を抱える教授としては、折角の才能が、自分の手の届かないところでひん曲がっちゃうことを心配していたのだろう。親身になって学生のプライベートな心配事の相談にのってくれた。演奏とは、精神と魂と肉体の共同作業だとその著書にも書いてある。厳格で、強面だったけど、優しくて熱い人だった。

2)人の演奏を聴くな
俺、人の演奏ほとんど聴かない。だって、それ、上手いと腹立つし、下手糞だともっと腹が立つんだもん。まぁ、冗談だよ。今、CDやDVDだけじゃなく、Youtubeのようなのがあって、どんな曲でもたいてい見つかっちゃう。発表会なんかで曲を決めると、さっそく探して聴いちゃうんだよな。「あぁ、こんなテンポなのね」とか、「ここで息とればいいんだ」とかね。それ、止めようぜ。いいじゃないの、自分で最善と思ったテンポが他人の半分であたとしても、それで自分の音楽ができるなら。息取りの場所だって、音楽と密接な関係にあるのだから、自分の音楽をしようと思うなら、自分の息取りを考え出さなきゃ意味がない。一度曲を決めたら、以後、完成するまで人のを聴くのは禁止だ。マイナスワンのCDも遊びには面白いが、音大の学生がみんなおんなじテンポでコンチェルト吹いたら、世も終わりだろ。昔、ベルリンで指揮者希望の日本人学生が、練習室でカラヤンのカセットかけながら指揮の練習しているの、偶然目にしてしまった。赤面したよ。なぁ、そいつが、大指揮者になれるなんて誰も思わんだろ? どうせ踊るならエアロビクスの方が、健康になれる分だけ、よほどましだろ。さらに、ネットで手に入るものなんて、俺のブログをはじめとして、ほんといい加減なもので溢れてるから気を付けたほうがいい。

3)楽器のせいにするな
どうしてこんな「やってはいけない!」を思いついたかというと、昨日までのヘルムート・ハンミヒ師の頭部管の話を書いていたからだ。良い楽器に巡り合うことは、フルート吹きにとってものすごく幸運なことだ。良い伴侶に巡り合うのと同じだな。ブランドや金額で評価できないのは、人と同じだ。ただ、結婚しちゃったからといって「釣った魚にエサはやらない」と、面倒見ないのはいかんぞ。メンテはちゃんとやろう、たまには一緒に旅行にでも行こか。俺、明日から温泉に行く。関係ないか。昨日も書いたが、楽器が変わるのと、人間が変わっていくのと、どちらが大きいかと言えば、人間の方がはるかに不安定で変わっていく。不調だと思ったら、謙虚に楽器に聞いてみるのも必要だ。楽器店で、ちょこちょこっと吹いて、「低音が楽に鳴るから」くらいの理由で、浮気してはいけない。たいてい数日たてば、性格が悪いのがすぐにバレる。だいたい、楽器店の店頭で売れる楽器を作ろうと思えば、パッと取って、ちょこちょこっと吹いて、「鳴る」楽器がいいに決まってる。愛想のいい、イカニモ美人だ。でもな・・・、止めとくわ。そのうち、「楽器の選び方」を書くよ。

やってはいけないシリーズ、炸裂させるからな。俺、悪態ついてると活き活きしてくる!

きょうはここまでだ。