フルートの吹き方 アウフタクト(3)

さて、アウフタクトがどういうものかは、第1回目に書いたが、どう演奏するのかについて少しだけ書いておこう。

アウフタクトは、持ち上がっていく拍だ。昇りつめた頂点が、小節線だ。そこで静止することなく、一気に降りて来て1拍目だ。だから、アウフタクトが1拍目につながる瞬間、すなわち小節線の上は、エネルギーが溜まっていて、不安定、まさに緊張状態だ。そんなところで、呑気に息なんか吸って居られる訳がない。でしょ?そして、その頂点に向かって、自然なクレシェンドが起こるはずだ。息取りのところで述べたように《息の取り方(1)(2)》、しゃがんだ状態から伸び上がる動作と一致する。これは動作からすると決してディミヌエンドではない。そして《息の取り方(7)》も思い出して欲しい。この記号だ。

ね。後半のクレシェンドがアウフタクトだとすると、息取りは当然その前だし、逆もまた真也で、息取り後は自然にクレシェンドだ。ここでヴァイオリンを考えてみよう。何の知識もなくていい。ボーイングにはアップとダウンの2種類がある。オーケストラではこれをきっちり揃える。これは見た目だけでなく、アップとダウンの音の性格が全く違うからだ。弓先で弾くときには手元から遠く、力が入りにくい。逆に手元では、手の重みが加わりやすいので、音は大きくなる。さて、アウフタクトを弾くときに、自然な動作は、アップかダウンか。1拍目はやはりダウンで弾きたいだろうから、アウフタクトは当然アップだ。動作的にも、逆は考えにくいだろう。アップは弓先から手元に向かって弾いていく、つまり、ヴァイオリンのアウフタクトには、自然なクレシェンドが内包されている。というわけだ。オーケストラで弦楽器のセクションが、あーだ、こーだとボーイングで話し合っているとき、「私、関係無いも~ん」って、言わずに、ちょっと耳を傾けてみよう。フルートの吹き方の参考になる話が聞けるかもしれない。

オーケストラついでに、「運命」の冒頭、あなたが指揮者だったらどう振る? 4分の2拍子、1小節はひとつに振る。(日本人の駆け出しの指揮者だとまともに振れないのが多いよ。オーケストラも日本人だからな。)なぜなら、譜面はこうなっているからだ。

最初の3つの八分音符がアウフタクトだ。最初の休符を分かるように振り、長い二分音符が最初の着地点になるように振る。八分音符3つはクレシェンドであり、二分音符の音が一番大きい音だ。ダダダダーン じゃ判んねえよな。最初のダが一番大きい音に読めちゃうもんな。ま、強いて書くなら ッダダダーン だな。譜面を見て、振る練習をしてみてくれ。どんな振り方でもいい、これならオーケストラ全員が出られるだろうと思えたら、それが大正解だ。アウフタクトはそのように吹けばいい。

きょうはここまでだ。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です