月別アーカイブ: 2017年1月

フルートの吹き方 音程(3)

昨日までの話で、疑問を持たれた方はいないだろうか。「絶対音感」なんじゃそれ? である。ま、絶対音感にも色々あるようで、基準音なしに音高を言い当てられるというレヴェルのものから、1ヘルツの単位で音を言い当てられるという、人間チューナーみたいなものまで存在する。音高を言い当てられる位のレヴェルなら、ガキをちょいと鍛えりゃすぐにできるようになる。それ位だったら、全く罪は無い、「いいんじゃね」くらいのもんだ。しかし、人間チューナーになると、悪いけど、音楽できません。たぶん、演奏の途中で気が狂うと思う。転調したとたんに、メロディーわかんなくなると思う。昨日書いたように、音程は、疑問・修正・妥協で決めていくしかない。妥協というのは、耳の欲求をなだめて、その音を新たな基準に置き換えるという作業だ。それは、音を「相対化」するという仕事であって、音楽という行為の中で最重要な要素だ。それは、明らかに「絶対音」よりも、上位に位置する。

もし、高レヴェルの絶対音感を持っていると主張し、尚且つ自称音楽家であるなら、倍音の原理には反応しないという、よほど、鈍感な耳を持っているのか、そもそも「絶対音感」自体「眉唾」なんじゃないか。物理的と言おうか、生理学的と言おうか、「倍音」という概念自体、「相対」から成り立っているんだから。

そもそも、絶対音感なんて自慢したり、羨ましがられたりするのは日本くらいのもんだぞ。もとはと言えば、帝国海軍が、敵機来襲をいち早く知らせるために、国民に普及させようとしたことに始まる。馬鹿馬鹿しいんで、途中で止めちゃったらしいけどね。

そういうわけで、諸君! 絶対音なんか羨ましがるんじゃない。はっきり言っておくが、音楽には不必要だ。同じ「絶対」を自慢するなら、なぜ、「絶対テンポ」という概念が出てこないのか不思議だと思わんか? そう、人間メトロノームだ。こっちの方がはるかに便利だし、害も少ないんじゃないかと思うんだけどなぁ。昨日は音楽を、呼吸や、鼓動や、体温にたとえたが、いずれにしても、それらは、変化することが特質であり、そのことによって「命」を守る役割を果たしている。

我々は命を尊び守りつつ、しかしいつの日かそれを失う。その潜在的な悲しみの中にあって、絶対的な価値観を求めるのは人間として至極当然の欲求だろう。だが、永遠に吐き続けられる息は無いし、微動だにしない楽器の保持も無い。絶対的な音程も無いし、変化しないテンポも無い。言い換えれば、生きている限り自由であるし、そのことがまた、生きる難しさでもある。楽しいじゃないか!

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 音程(4)

音の高さは通常、周波数によって表される。空気の粗密のサイクルが1秒間に440回行われれば、真ん中のAというのはご存知の通り。人間の可聴域は下は20Hzから上は20,000Hzと言われてきた。上に20,000Hzと言っても、楽器的にはせいぜい5000Hz位が精一杯で、それ以上は聴こえないというのではなく、出せる楽器が無いだけだ。低い方は、楽器的には20Hzよりももっと低い音を出せるオルガンがある。でもね、そんな低音聴いたって、音程なんか分かんねぇよ。いうなればビリビリ音だな。この周波数とは別に、人間が1秒間にいくつの音を認識できるかという指標があって、これが大体1秒間に18個と言われている。この数は、周波数の下可聴域の数字と大体一致する。ビリビリ音と書いたのは、そのビリビリが1秒間に18個になると、これは音程としてではなく、ビートあるいはパルスとして感じられる領域に達するという事でもある。つまり、音の周波数をどんどん下げていくと、最初は音程が下がっていくが、しまいには音程が分からなくなり、ビートとして認識されるようになる。旋律は音程の変化であり、リズムはビートの変化と考えれば、ここにおいて、音程とリズムは連続したひとつの要素と考えることができるのではないだろうか。あれ? 巷で有名な音楽の3要素ってこの二つを全く別の概念として捉えてなかったか? ついでに、言っておくと、もっと周波数を落としてやると、数秒間に1回というビートになる。これを「形式」と考えると、さらには「様式」そして「時代」、「歴史」にまで想像を発展せることができる。先に、「楽譜」の項目で、楽譜から離れると、曲全体から、人生までが見通せるというようなことを書いた。何を血迷ったことを言っているのかと思ったかもしれないが、別の視点から音楽の領域を広く見渡そうとしても同様に、私たちの存在の根源に行きつくことができる。

話を元に戻す。ではハーモニーとは何か。メロディーが多層化して進行している状態としようか。いや待てよ、リズムとメロディーの両立だって既に多層化の現れじゃないのか?そこで、多層化という可能性を、可聴域よりももっと下の周波数にも広げれば、ここにポリフォニーに対するポリリズムが成立する。このポリリズムの考え方は結構古くからあったのだが、しかし、まだ未開の分野と言っていいかもしれない。まだ、多層化と言えるほど持続的なエネルギーを持ったものが出現していないんじゃないかと思う。あ、また話がそれちゃった。そこで、私には巷の音楽の3要素とやらも、どうも怪しい考え方じゃないかと思えてならない。単純に考えて、メロディーとリズムは時間に規定されるが、ハーモニーは時間に規定されない概念だろ。音楽の特質が、時間という基礎の上に成り立つことを考えれば、ハーモニーという概念は、時間に規定されるいくつかの要素の重なり合いの状態を表しているに過ぎない。それなら、ここでハーモニーの概念をまっとうな大きさに広げてやろうじゃないか。多層化だ。このことによって、今こそ全く別の音楽の概念を提示しようじゃないか。これまで挙げてきたすべての要素、音程、リズム、形式、様式、時代、歴史、そして楽譜、フレーズ、楽章、曲、練習、演奏、人生、命、それらを多層化し、ある調和を目指して進行させること、それが音楽ではないだろうか。

いやぁ、ついに、書いちまったな。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 音程(5)

きょうは、フルートという楽器自体が持っている音程の問題について書く。3オクターブ目の音程が上ずって困っていないか? 「強く吹きすぎだから」とか「もっと唇の力抜いて」とか言われるだろ? ま、間違いではないんだが、その前にもっと重要なことがある。フルートの管ってどんな形状しているか、よく見たことあるか? 胴体は同じ太さだが、頭部管は先のほうにいくにしたがって細くなっている(絞り)だろ? 「今、気が付いた」なんて言うなよ、悲しくなるからな。この絞りが、3オクターブ目の音程に重要な役割を果たしている。

面倒だが、説明するわ。フルートの3オクターブ目の音程は、第1オクターブにある基音の第3倍音と第4倍音の組み合わせの運指によって出す。「あ~、もう分かんね」って言うなよ。大事な所だから。例えば、3オクターブ目のF(ファ)の運指と、キイの開閉の状態を見てくれ。F(ファ)【この音の第4倍音が3オクターブ目のF(ファの指使いと、B(シ♭)【この音の第3倍音が3オクターブ目のF(ファ)】の指使いが組み合わさってるだろ? 詳しく言うとF(ファ)と、B(シ♭)の指使いの間のキイ1個が開いてる。A(ラ)のキイだ。これが、3オクターブ目の指使いの基本。ついでに言うと、Eメカの付いていない楽器のE(ミ)、それからFis(ファ#)は、この間のキイが2個空いてしまうだろ? だ・か・ら、ちょと出しにくいの。昔、楽器メーカーで開発されたFisメカ付き楽器を吹いたことがある。なんだか、訳の分からん機械が付いていて重かった記憶がある。結局、実用化されなかったんだな。Eメカついてると、G-Aトリルに困難が生じるように、なんかその辺で問題が生じたのかもしれない。単に、馬鹿臭かったのかも知れんが。

話を元に戻し、さらに面倒になる。この頭部管の絞りだが、これは先ほど述べた第3倍音の高さに影響する。絞りが強ければ、第3倍音は高くなると覚えてくれ。おっ! 察しのいい人は分かったみたいだな? 絞りの強弱というのは、当然、楽器全体に対する比率だから、「頭部管を胴体に深く差し込んで」楽器全体が短い状態になると、絞りを強くしたことになる。すると、第3倍音は高めになり、第3オクターブの音程が上ずる。だろ? つまり、吹き方自体が低く、頭部管を胴体に突っ込みすぎて吹いていると、3オクターブ目は高くなってしまう。 頭部管を内側に回して、歌口を半分くらい覆って、唇に力入れて吹いてると、際限なく上ずるぞ。

チューナー、まだ踏みつぶさないで持ってるだろ? ぜひ実験してみてくれ。頭部管を1センチくらい抜いて、Aを合わせる。そのまま第3オクターブ目を吹いてみてくれ。な? 楽勝だろ? 音程だけじゃなくて、高音が出しやすくなっただろ?

先ほど述べた、第3オクターブのEメカのついていないEとFisだが、キイが2つ空いてしまっていることによって、音程がやや上ずる。これは、絞りとは関係ない。だから、私はEメカ付きを強く推奨するね。G-Aトリルはどうするって? 左の、2.3.4を押さえて、2.4を同時に上下してトリルするんだよ。難しいけどな。

楽器自体の音程の問題は、まだ続くぞ。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 音程(6)

昨日もちょっと触れたが、我々はフルートのチューニングの際に、頭部管と胴部管の抜き差しによってその調整をする。だがしかし、考えてみよう。もし、何らかの事情によって、自分の楽器全体の音程が低い場合、本当は「全体が小さい(短い)」楽器を必要とするはずである。単に頭部と胴体の距離を縮めるのではなく、キイ同士の間隔を僅かずつ少なくしていかなければならないはずだ。だから、頭部管を押し込んでいると右手の音域で、相対的に音程はぶら下がり気味になる。逆に、抜きすぎていると右手の音域は上ずり気味になる。

何度も言うが、最初にAをチューナーで合わせたとしても、このことを考慮しなければ、チューニングは何の役にも立たない。結局のところ、一番誤差を少なくして吹くためには、「設計通り」に吹くのが一番ストレスが少ないのだが、さてさて、各メーカーで、どんな考えと計算のもとに設計されているかまでは、なかなか教えてもらえない。それに、作る方だって、倍音という純粋な物理現象に従おうとする「管の物理的特性」を、平均律に合わせられるように、工夫と妥協を重ねて作っているわけだ。如何ともし難い音程の癖が出現するのは当たり前だし、奏者はそのことを熟知していなければならない。

楽器自体の持つ音程の癖を知る前に、まず楽器の調整をしっかりしておこう。特に音程に影響があるのは、頭部管内の反射板の位置だ。これは、オクターブの広さにかなりな影響を与える。だからと言って、自分の吹き方に合わせて調整してはいけない。こればっかりは、歌口部分の直径と等距離(17ミリ)に合わせておかなければ、響きや音色など、音の根幹部分に影響が及ぶ。掃除棒のしっぽにあるマークも、数本比べるとえらく誤差がある、きちんと17ミリの位置にマークがあるかも要チェックだぞ。その調整をしてもなお、1オクターブ目と2オクターブ目のE(ミ)からH(し)位の間でオクターブが狂うようだと、吹き方が正しくない可能性が高い。

さて、楽器の調整もOK、吹き方も悪くないという前提で、ごく一般的な現代フルートの音程の癖について整理しておこう。以下に述べるのは、あくまでも平均律の音程を基準にしているから、実際の演奏では必ず修正しなければならないというものではない。まず、一番癖が出やすいのがD(レ)だ。第1オクターブのDは大体低めだ。これは、吹き方によることが大きい、低音を出すために、必要以上に息を下向きに入れていると、当然低すぎることになる。また、正しく吹いても、第3オクターブのDは明らかに低い。これは、常に修正が必要だ。第2オクターブは、やや高めの傾向がある。ただし、先に述べた頭部管の抜き差しの量で、高くない場合もある。Cis(ド#)も厄介な音程だ。1オクターブ目は低く、2オクターブ目は高く、3オクターブ目は低い。1オクターブ目は、D(レ)と同じ理由。2オクターブ目は、指使いから分かるように、管が最短の状態で、吹いたときの管からの抵抗が最も少ない。それによって、息が腹で正しくコントロールされていないと、息が入りすぎて高くなる。3オクターブ目は正しく吹いていると低めになる筈だ。これが高いと、2オクターブ目はどえらく高いはずだ。

3オクターブ目が全部高くなるようなら、昨日書いたように、吹き方を疑ってみるべきだろう。正しく吹いても、Es(ミ♭)とFis(ファ#)はやや高く、A(ラ)はかなり低いはずだ。B(シ♭)とH(シ)が低くなるのは右手の小指を離せば、いくらか修正できる。というか、離すのが正しい指使いだ。

一般論として書いたが、実践では音程はもっと上下するから、あんまり役立たないかもな。
明日は、吹き手に起因する音程の問題を扱おうと思う。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 音程(7)

音程については、「疑問・調整・妥協」によって決まると述べてきた。それは楽器製作の次元でもまったく同様なので、少なくとも正しい楽器の調整と、設計思想に沿った吹き方が求められる。きょうは、「それでもまだ音程の問題からは解放されない」だ。そう、「吹き方」だ。フルート吹きなら誰でも知っていることだが、フルートは「音程が悪い」楽器なのだ。しかし、思い出して欲しい。楽器の持ち方はどこか決められた数点で楽器を保持するのではなく、バランスで持つべきだと書いた。息取りは、息を吸うことを音楽表現の中に取り込もうと書いた。だから、音程の問題も、そのコントロールによって、私たちの音楽表現の輝かしさを、いっそう増すものとなるのではないか、と考える。

フルートに対して、私たちは息をどのように当てるかを考えてみよう。そこには様々な条件があって、それらはそれぞれが独立しているわけではないので、これをこうすればこのようになると結論付けることは難しい。例えば、「息をやや下に吹き込む」と、音程は下がる。しかし、これが、単に息の角度によってもたらされたのか、息を下に吹き込むためにフルートを内側に回転させたことにより、唇の息穴と歌口のエッジが近づいたからなのか、判別するのは難しい。さらに、この場合、倍音構造が変化して音色が変わるのだが、そのことが耳で感じる音程に影響を与えているだろう。また、管内に息をより多く吹き込むと、管からの抵抗も大きくなるので、息のスピードも落ちるかもしれない。このうちどれが、音程を下げさせる条件となったかを説明するのは難しい。演奏をしている上で、我々はしばしば音程を補正しなければならないが、「高いときはこうする」「低いときはこうする」といった、決め手になるような技術は無いと思っていたほうが良い。ある局面で音程が低すぎると感じたとしよう。補正するのに、楽器を外側に回すのか、息をやや前方に出すのか、息のスピードを上げるのか、さらに「倍音が多い音は高く聴こえる」事を利用するのか、解決法は様々だ。

ただ、注意点としていくつかを挙げることはできる。低い音域では下がり気味、高い音域では上がり気味。フォルテは上ずり、ピアノはぶら下がる、同様にクレシェンドは上ずり、ディミヌエンドはぶら下がる。フレーズの最後はぶら下がる。息のスピードを上げると音程は上がる。息の量を多くすると音程は上がる。楽器が温まれば音程は上がる。下を向けば音程は下がり、上を向けば音程は上がる。冗談で言っているわけではないぞ。楽譜にかじりついていると、楽譜の上下は30センチもあるのだから、当然上段と下段では姿勢が違ってくる。音程も変わってくるよ。

数回前に私は、音程を体温に例えた。興奮すれば上がり、落ち着けば下がる。高熱は確かに身体にダメージを与えるが、しかしその一方で、自身を守るために何かと戦っているのだ。ダメージを避けるために体温を下げるのか、戦うことを優先するのか。いずれにしても、機械で常に一定の体温を保つことなど、不健康極まりないだろう。何度も言うが、音楽も同じ、生きている。上ずり、ぶら下がる音程、どちらも負の要素ととらえずに、利用すれば私たちの音楽を、より強く輝かしいものにしてくれるはずだ。

ちょっと書き足りない気もするが、錦織君の試合が始まるから・・・

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 楽譜(1)

楽譜をいかに素早く読むかというのは、大方の関心事だと思う。つっかえ、つっかえ吹いていると、傍らの先生が露骨にイライラしてきて、聴こえるように溜息なんかつかれたりしてさ、月謝払ってるのこっちなのにな。皆、仕事もあるし、勉強もあるし、突発的な用事もできる、一日中フルート吹いていられるほどお気楽な身分の人はそうはいないだろうから、「練習不足」の一言で片づけられたら、溜息が出るのはこっちの方だ。あぁ、これだけで100いいね!獲得だろ?

「自分の吹いている所よりも、常に先の音符を見ていなさい!」って言われたことないか? そんなの無理だって。そんなことしようとしたら、頭のCPUほとんど使っちゃうから、馬鹿みたいに疲れるぞ。それに楽しくないしな。楽譜が素早く読めない人の特徴は、オタマジャクシの頭を順番に読んでいこうとするんだな。それで、速い、細かい音符を読んでいったら、凄い動体視力が必要だ。フルートより野球のほうが合ってるな。「楽譜の速読ソフト」なんてのをチラッと見かけたことがあるが、〇の役にも立たたんぞ、止めとけ。

朗読を考えてみようか。すらすらと、流れるように朗読するためには何が必要か。文字を一個一個読んで、発音していったらアウトだろ?最低でも単語単位、出来れば文節単位で認識する事ができれば、かなりすらすらと朗読できる。さらに、その時に個々の単語の意味、文全体の意味が把握できれば、色々な読み方もできる。NHKのアナウンサー風とか、悲しそうにとか、思いっきりく臭ぁく、演技を付けて朗読することもできる。だから、全部ひらがなで書かれると物凄く難しくなる。ま、楽譜はその状態だと思ってくれ。

で、やっと、楽譜はどう読むんだという話だ。「楽譜は、音符の”かたまり”を読め」だな。そんなに楽譜に近づかないで、いくつかの音符の塊りを一度に認識するんだ。それしか無い。この時注意してほしいのは、小節単位で塊を認識するのではなく、あくまでも「意味のある塊」を単位にするんだ。多くの人は小節線に騙される。そこに大きな節目があるように見えるからね。しかし、小節線には音楽上のたいした意味はない。小節線を超えるときに負荷がかかってはいけない。それから、「意味のあるかたまり」なんだから、スラーやスタカートなども含めて認識してしまうんだ、言葉のようにね。

では、その「意味のある塊」とはどんなことか。例えば、「ここからここまでは〇調の音階」「ここからここまでは半音階」「~アルペジオ」「~定型的な終止形」そんな風なとらえ方だ。難しいと思うかもしれないが、それ以外にない、だから、経験によって楽譜は読めるようになる。

どんな経験をすればより効果的か。次回、もっと詳しく書くが、音階練習、アルペジオなどの練習だ。音階練習というと、「指を回す為の練習と思っている人が多いが、絶対違う。だからタファネル&ゴーベールなんか、あんまり良くない、あれ、音階練習じゃないな。あれじゃ、音階身につかない。今、自分の吹いている曲が、「何調で書かれている」のか、位は最低限分かっていなきゃならんぞ。「今、何調か」が分かればもっといいが、その前に冒頭の調号だけはちゃんと読めよ。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 楽譜(2)

昔、ハンス・ペーター・シュミッツ博士のクラスにいた頃、何人かで初見大会をやったことがある。誰もやったことのないようなエチュードを引っ張り出してきて、最長不倒距離を競うわけだ。この時の結果から導かれたのは、「こなしてきたエチュードの量に比例する」だった。初見が利くからと言って、何か自慢できることでもない。強いて利点を挙げれば、ゆっくりから始める曲の練習のスタート地点のテンポを、いくらか速めに設定できるというくらいだろうか。プロになれば、仕事でそれなりの初見能力を必要とする場面に出っくわすことも多いのだが、初見での演奏なんて、所詮演奏しっぱなしの薄っぺらなものでしかない。音楽的な価値はもっと崇高なものであって欲しい。何度も言うが、音楽的な価値という点において、プロもアマも違いはない。プロにはより重大な責任があるという事だけだ。

さて、昨日少しだけ触れておいた「音符のかたまり」だが、それを認識するには、初歩的な楽典の知識も必要になってくる。音階練習やアルペジオの練習ををやるにしても、調号と調名、主音、属音(音階の主音から5度上の音)、下属音(音階の主音から5度下の音)、できれば7度の音までサッと言えるようだと素晴らしい。これらは頻繁に出てくる。転調されたときにもこれらは有効に作用する。記号として書かれた装飾音だけではなく、音符として書かれた装飾の形を読み取る能力もあったら楽だろう。それらの知識があると、臨時記号に素早く対処できる。ある臨時記号が、「転調された」からなのか、あるいは「単純に経過音や装飾音として半音上(下)を出させたい」だけなのかを読み取れれば、臨時記号なんか怖くない。ただ、書かれたとおりの#、♭、♮ひとつずつに忠実に反応していたら、ダブルシャープやダブルフラットになると、もうお手上げになってしまうだろう。

音階練習は、例えば一日にひとつの調で、上り下りを全音域でゆっくりやるのが良いだろう。何年か続けると、主音、あるいは調号を思い浮かべるだけで指が勝手に音階通りに動いてくれるようになる。全部の調だ。半音階は、3つずつ4つずつの区切りで、12音全てのスタート地点で練習するとよい。さらに、あまり行われていないようだが、減七の和音の練習はやっておくべきだと思う。減七とは、全ての音程差が短三度になる4つの音からなる和音で、c-es-fis-a(ド・ミ♭・ファ#・ラ)と、cis-e-g-b(ド#・ミ・ソ・シ♭)と、d-f-as-h(レ・ファ・ラ♭・シ)の3種類しか存在しない(あとは展開型で同じ)。12の調があるにもかかわらず、3種類しかないのだから、臨時記号を伴って物凄く頻繁に登場する。でも、3種類しかないのだからやっておけばとってもお得だ。皆の好きな、ケーラーのエチュードには山のように出てくるぞ。

これらを全部を毎日やろうと思わないでくれ。せいぜい30分もやれば充分だ。それより、日頃からごく簡単なアナリーゼの習慣をつけておくのが良い。難しいことを言っているようで気が引けるが、それが最も楽譜を苦手にしない方法だ。それをするのとしないのとでは、同じエチュードを練習していても、その効果がはっきり表れる。アナリーゼといっても正確じゃなくていい、自分勝手な解釈で構わないから、臨時記号などの意味を理解して吹くようにしたら良い結果を必ず生む。もし分らなかったら、先生にどんどん聞こうよ。それが先生の役目なんだから。

あれ?俺、たしか、練習大っ嫌いって、言ったような気がする・・・

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 楽譜(3)

昨日はちょっと難しかったな。すまん。だから今日はちょっとしたTIPだ。その前に、昨日の減七な。譜面の用意ができた。なるべく読みやすい臨時記号で書いた。それぞれを展開すれば、起点をどこにおいても同じ和音だ。

これをこんな風に練習すると良いんだが・・・親切に3種類書いといた。これ、自分で続きを書いてもいいが、覚えちゃう方が早いぞ。てっぺんは、4オクターブ目のC(ド)でいいだろう。この和音の響きは無調で、ちょっとエキゾチックだから、楽しいぞ。

起点C(ド)

起点Cis(ド#)

起点D(レ)

 

TIP-1 加線について。フルートは単旋律で、移調楽器でもないし、下に加線が無いから超・楽な楽器だな。それでも上の加線を、6本位までは読まなくちゃならん。ただ、人間が瞬間に認識できる数は4までというのを、どこかで読んだ。だから、昔は札を数えるとき4枚ずつ数えたらしい。生憎、そんな札なんか数えたこと無いけどな。で、加線4本はG(ソ)だ。その上に乗っかってりゃA(ラ)だ。これをまず覚えてしまうんだ。で、加線が多くて「えっ!」と思ったら、H(シ)だ。「うわっ!」と思ったらD(レ)だな。これ、結構、真面目に言ってるんだよ。

TIP-2 楽譜から離れろ。車の免許取りたてはやっぱり下手、で怖い。遠くが見えてないからな。慣れるにしたがって、視野が広がる。楽譜も同じだ。視野が広がれば、スラーがどう架かっているのか、次の息取り、休止符はどこなのか見えてくる。さらに、フレーズ、形式、曲の構成まで見えてくれば、余裕ってもんだ。ついでに言うとな、もっともっと離れると、一日の中での練習のあり方とか、フルート人生の中でのその曲の位置とか、自分の人生の中でのフルートの位置とかも見えてくるはずだ。これはいつか改めて書くことにする、哲学的なんでな。

TIP-3 あくまでも原則的にだが、ゆっくりの楽章は、全体がp(ピアノ)であり、活発な曲は全体がf(フォルテ)である。そして、p(f)で始まった曲はp(f)で終わる。曲の終わりが、消えるように終わるのか、吹き切って終わるのか、きちんと意識しておくんだぜィ。

TIP-4 独習者に多い間違い。自分がレッスンをしているから言う訳ではないが、独習は、薦めない。こうしてフルートの吹き方を書いていても、独習で良く吹けるようになるとは、正直思っていない。コンピュータみたいに、昨日や今日できた機械だと、使うだけなら独習でもいいかもしれない。洗練された教授法・メトードがあるわけじゃないから。でも、楽器は何百年という伝統の中で、音楽という芸術に貢献してきた。それなりの、学習方法が幾多の試行錯誤によって確立されてきた。それを利用するのは、単に合理的とか、手っ取り早いというだけでなく、楽器や、音楽に対する敬意の問題でもあると思う。
独習者に多い間違いを、楽譜関係だけに限って書くと
1:長い音符・休符の長さがテキトウ
2:小節線の上で音楽が止まる
3:スラーがテキトウ
4:拍の概念が曖昧(何音符を1拍に取るのか、あるいは今、1拍が何音符なのか)

これらは、第三者の耳を必要としており、本や、WEBでは決して解決できない問題だ、音楽だからな。

今日はここまでだ。

フルートの吹き方 息の取り方(1)

 「もっと肺活量があったらなぁ」とか、「吹いてて苦しいよぉ」とか思ったことないか? あれば、必見だ。

 まず、これだけは言っておきたい。生きてんだから、息くらい、堂々と吸おうじゃないの!コソコソ吸うことないのよ、何にも悪いことしてないんだから。息取りが目立っちゃう?それが問題。結論だけ先に言っておこう。音楽の中に「息を吸う」という要素が含まれていないから、目立つんだよ。息取りという行為、そのために取る時間や、あるいは息を吸っている姿そのもの、それらを全て音楽表現の中に、プラスの要素として取り入れれば、息を吸うというのは素晴らしい表現手段のひとつになるのではないか? だってさぁ、普段から「吸って、吐いて」してるよな、生きてんだもの。循環呼吸とか、カンニングブレスとかっていうう言葉を聞くとゾッとするんだ私は。息を吸うのがそんなに恥ずかしいか!と、言いたくなるな。だから、普段と同じようにフルートを吹いている時でも、息を吸うのと吐くのは等価であるとしておこう。決して、きれいごとを言ってるんじゃないぞ、具体的にどうするかは、追々述べる。

 もうひとつ、苦しいって?それな、息が足りないんじゃないぞ。ひとつ実験だ。息を思いっきり吸って、肺を一杯にして、そこで止めてみようか。何秒持つ?いいよ、計らんでも、大体の感覚をつかんでくれ。次に、息を吐き切って止めてみようか。どうだ?な、こっちの方が長持ちするし、楽だろ? で、フルート吹いてて苦しいとしたら、どっちの苦しさだ?ま、ほとんどの場合吸って止めた時の苦しさが近いと思うぞ。今度はフルートを吹くときのように息を吸ってから、口を押さえて息出してみな。息出ない!苦しい!になるだろ? 確かに、腹式呼吸とか胸式呼吸とか、関係無くは無い。無くは無いか、難しいな、要はあるってこった。ただし、横隔膜の無い人間は居ないし、胸骨を広げたら、肺は膨らむんだし、話は「はい、解っかりましたぁ!腹式でやりまぁす!」みたいな単純な問題じゃない。こための具体策も追々述べる。

 そういいうわけで、フルート吹いてその音色を楽しむんなら、同じように、息を吸うことも楽しもうじゃないの。少し、気分が楽になったろ?これだけで、だいぶ楽に吹けるそ。

 きょうは問題提起だけにしておくわ。最後にこんな実験してみようか。立った状態から、しゃがみ込みながら息を吸ってみてくれ。その逆に、しゃがんだ状態から立ち上がる過程で息を吸ってみてくれ。な? 息取りって、そういうことよ。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 息の取り方(2)

「息取りって、そういうことよ。」ってのは、つまり、息を取るという動作は、「体が上に伸びる動作」と結びついている、ということだな。西洋音楽は、上下動の音楽、ま、踊りもそうだな。この、音楽上の上下動と、呼吸による上下動をうまくかみ合うように息を取るのが、最重要だ。西洋音楽と断りを入れたのは、例えば能だ。移動するときに、上下動を極力抑える。歩行による腰の上下を、膝で吸収する、だから、頭は上下しない。聞くところによると、中国の京劇も同じらしいな。ちょっと、話がそれるが、能の静止の姿勢は、ただ、がしっと動かないようにするんじゃなくて、前に行く力と、後ろへ引く力のバランスで静止する。これ、フルートの持ち方で「究極の安定はバランスだ」と言ったのと、ほぼ同じ考えだ。で、話を元に戻すけど、上下動を嫌う能で、呼吸をどうコントロールしているかは勉強不足で知らない。誰か知ってたら教えてくれ。

音楽上の上下動についてちょっと説明をしておく。1拍目はダウンで、ほぼ間違いない。(ほぼ、というのは例えばヘミオラの場合、2小節で3拍なので、2小節目の1拍目はダウンじゃない、ヘミオラの説明してると長くなるから、ググってみてくれ)同様に、明らかなアップは、アウフタクトだ。いや、「アウフタクト」ってドイツ語で「上向きの拍」って、そのものの意味だから。とりあえず、小節の最終拍としておいて間違いないだろう。ここで、注意しなければならないのは、表記される拍子、例えば4分の3とか、4分の4とか・・それによって、最終拍が決まっているわけではないということ。それは1小節をいくつに「とる」かによって決まってくる。4分の4を4つにとるのか、2つにとるのかによって、最終拍の位置は違ってくる。だから、音楽上の上下動は、拍節感によって変化する。指揮者が、4拍子を4つに振らずに、2つに振る事があるのは、単に省エネで楽しているわけじゃないのね。音楽が変わってくる、(と、少なくとも指揮者は思っているはず)。で、最終拍が持ち上がって、持ち上がってそこにあるのが小節線。だから、ここでは普通、息取れないのよ。よく、重心を下げて吹くなんて書いてる人がいるけど、それは、「重心高いままだと息取れないから」ってんなら、まあ正しいかも。ねぇ、重心上がったり下がったりした方が楽しいんじゃないか?音楽だもの。上下しなけりゃ踊れねぇじゃん。

息の取り方を書こうと思って、きょうはひとつだけ例を挙げた。まとめれば、音楽の上下動と、息取りの動作がかみ合うように息を取りましょうねってこと。しかし、息取りというのは、この例でも分かる通り、別の要素、拍節感なんかと密接に結びついている。決して、物理的、肉体的に説明しきれるものではないということを理解してくれ。

指揮の話をしたんでちょっと言っておきたいことがあるんだ。よく、指揮者の棒で、「はぁい、タクトが一番下に来た時に音を出しましょね!」なんて、言ってるよな。そんな難しいこと、皆よくできるな。感心するぜ。でもな、こんな風にしてみてくれ。フルート構えて音を出す用意しておく。誰かに、何か軽すぎないもの、鍵束なんかいいかな、ぽお~んと軽く下手投げでちょっと上向きに投げてもらうんだ。その鍵束が、床に着くと同時に音出してみようか。イェーイ!簡単だろ?つまりな、最下点を認識するためには、投げる瞬間の鍵束の初速、角度、床までの距離を認識しなけりゃならないのよ。だから、それがわかるようにタクトを振らなきゃならないんだ、指揮者は。いい加減な初速や角度から振ったり、いきなり上から振り下ろして、「合わねぇっ」て言ってる指揮者は、皆で相談してクビにしてもいいぞ。そういう風に振れないってのは、リズム感無いってことだから。最近の電子メトロノームも実は最悪なんだな。ピッだけだもん。使わないわけにはいかないんで、しかし、慣れるまで慎重にした方がいい。昔の振り子式は、振り子見てりゃ物理的な予測がつくし、リズムという「動き」を含んだ概念に合ってる。

難しくなっちまった。許してくれ。

きょうはここまでだ。