フルートの吹き方 癖(2)

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癖というと、持ち方とか、アンブシュアとかすぐに考えつくが、実はまだある。でも、今日は持ち方だ。

持ち方について私がどう考えているかは、申し訳ないが「フルートの吹き方 持ち方(1~4)」を今一度お読みいただければと思う。色々な持ち方があって良いのだが、やはり、右手の薬指、小指あたりが、伸びきって突っ張っているのは明らかに、指の動きに支障が出てくると思う。つい最近YouTubeで見たんだが、あの有名フルート奏者P氏の右手小指は突っ張ってるな。真似はしないほうがいいと思うよ。言い訳にもしないほうがいいと思う。私だったら生徒に注意する。そのとき「だってP氏もそうしてるもん」って言ったら、もう何も言わんが。英国のことわざだったかな、馬を水場に連れて行っても、首を下げるのは馬自身だから。You can lead a horse to water, but you can’t make it drink. 冷たく言ってるんじゃなくて、苦労を知っているから。私自身、最初の3年くらい指を突っ張らかして吹いてたからね。さて、ちょっと頑張ろうか。

こう持たなければならない、ここをこう直さなければと、負の要素であまり考えないほうがいい。目標を大きく置いて、それに必要な技術だと考えるようにしたらどうだろう。良い音を出すためにというところでさんざん書いたのだが、「息のエネルギーを最大の効率で音に変える」事を目標にしたらいい。これは言い換えると、「無駄な力を使わない」「なんにもしないで吹く」だ。スッと立って、ふわっと楽器を持って、普段の顔で吹くということ。それが理想だ。そのためにはどうしたらいいか・・・ああ、じゃあ持ち方の研究をするか・・・のような思考順序で行ったほうがいいんじゃないかと思うな。そして、3日間、研究と我慢だ。フルート持って、歌口は肩に担ぐようにして、手の研究だ。長時間でなくていいから、根を詰めて悩む、祈る、決意する。3日だ。たった3日。その間、ロングトーンとか、すごくゆっくりの音階練習ぐらいならやってもいいが、止めとけ。

ここで思い出したんだが、ハンス・ペーター・シュミッツ博士のクラスでは、最初の半年間、1オクターブ目のH(シ)しか出させない。ほんと、マジで。その間、徹底的に音のコントロールを学ぶんだ。内容は、いつか書こうと思う。で、特にきょう書きたいのは、半年後だ。3週間に1度くらいの頻度で、クラッセ(klasse=Klassenvorspiel)というクラス発表会のようなのがある。半年後に、すごく簡単な曲をもらって、そのクラッセにデビューするんだ、新人が。これが、イイんだな。皆、音楽に飢えている状態だから、どんな簡単な曲でも、喜びをもって、精魂込めて演奏する。これ、感動する。

話を元に戻して、3日経ったら、忘れていい。その3日間の「苦悩」があると、それは頭の隅に残っているはずで、色々な局面で、「気になって仕方がない」はずだ。昔の悪い癖も出てくるかもしれないが、そんなに罪悪感はいらない。禁煙じゃないんだからさ。3週間過ぎればたぶんOKだよ。直るよ。

考えても、考えても答えの出ないとき、一度忘れてみるのがすごく効果的だ。人間、すごい能力があって、バックグラウンドでちゃんと考えてる。そうすると、ある時、問題が解決された状態で、ポッと意識に上ってくる。思いがけない瞬間に。もし、未だ答えが得られない問題があったら、是非試してみて欲しい。

きょうはここまでだ。