フルートの吹き方 息の取り方(3)

昨日はちょいと散漫な文章を書いてしまった。勘弁してくれ。つまりは、アウフタクトの後で息取れませんよ。小節線の上で息取れませんよということだな。あ、2行くらいで書けたな。

きょうは、一転して、じゃぁ、どこで取れるのかという、ものずごぉく俗な話だ。恥ずかしいし、企業秘密を含んでいるので、24時間で消す。
1)フレーズの終わったところ
2)長い音符の後
3)同音反復の間
4)同型反復の間
5)順次進行よりは跳躍の間
6)旋律線の山・谷の、谷の直後

個別の説明に入る前に、三つばかり、お約束な。
ひとつ ・・・楽譜に印刷されている息取り記号を信用するな!
ふたつ ・・・先生が「そこで息をとっても良い」と言ったからって、考えもせずに一生そこで息を取ろうと思っちゃだめよ!
みっつ ・・・リズムは鼓動だ、(息取りのために)止まったら、死ぬ!

1)フレーズの終わったところ。
これ、当たり前体操ね。これは、取れるというよりは、取らなきゃダメという所だな、たとえ息が充分にあってもだ。

2)長い音符の後。
ま、これもあたりめぇだな。息取りに必要な時間は、前の音符のお尻を削るしかないからな。

3)同じ高さの音が続く場合、その間。短い息取りになるけど、慌てずにな。方法は後で述べる。

4)同型反復。いくつかの音符によって作られる同じ音型が繰り返される場合だ。ゼクエンツァ(Sequenza)とも言うな。同じ音型であれば、音の高さは変わっていても良い。その、音型の繰り返しの間だ。ま、同音型であるということを示すために、若干「意味ありげに」吹くわけだが、その時に取れるよって話だ。いま、「意味ありげ」って書いたが、結構重要なんだな。ドイツ語でいうと”deutlich”。レッスンではほんとに多用される単語だ。日本語訳は「はっきりと」と訳されることが多いんだが、ちょっと違うんだよなぁ。語源は”deuten”という動詞で、これは、「示す」「指示する」みたいな意味だ。これの形容詞。英訳すると、”clear”か、”distinct”なんだが、この場合、”distinct”が合ってる。「他のものと明確な違いを示す」ってな意味だな。「意味ありげ」ってのは、そういうことだ。

5)順次進行よりは跳躍の間。
基本的に、Allegro、Vivace、Prestoなどのテンポを早めにとる曲の中では、音符は短めに(スタカート気味に)演奏される。これ常識。しかし、それでも、通常、順次進行や、半音階等はスラーをつけて演奏されることが多い。(たとえ、バロック期のソナタなどで、スラーが書かれていなくても)だから、あるひとつのフレーズの中では、順次進行よりは跳躍の間のほうが取り易い。もちろん、順次進行であっても、フレーズの切れ目では息を取るべき。

6)旋律線の山・谷の、谷の直後。
これ、覚えとくと、得よ。旋律線っていうのは、まあ行ってみれば、音符を折れ線グラフみたいに繋いだ線だな。これの、谷底の直後というのは息を取り易い。ただ、谷底と言っても、単純な一番下の音とは限らない。谷底に例えばモルデントがあったら、そのモルデントの直後だ。モルデントというのは、簡単に言うと、トリルの逆のように中心音から下への装飾だ。音型が下がってきたときに、着地する音を考えたらいい。メロディーは、しばしば行き過ぎて、地面に潜り込んでから着地するからな。

息取りの場所が分かったら、オーケーって言えないのが息取りの難しさだな。どうやって取るかも重要だし、上記6項目以外でも取らなきゃならない局面は沢山あるだろうし。
長くなるから、
きょうはここまでだ。
(24時間で消さないよ、安心しろ!)