フルートの吹き方 良い音を出すには・・・(4)

 「息のエネルギーを最大の効率で音に変える」
ことを大目標にして、今日は、それをどうやって実現していくかの話だ。企業秘密の核心部分だ。この際、みんな貴重な時間を使ってフルートの練習をするわけだから、合理的にやろうぢゃないか。最大の効率ということは、「同じ息の量なら最も大きい音のするところ」で、間違いない。でも、同じ息の量って、どうやって測る?どうやって同じ量を維持できる?だから、やみくもに「鳴るとこどーこだ」って、あっちこっち吹いてみても時間の無駄よ。なら、こう考えよう。「わずかな息でも、音が出るところ。」おぉ、これならいけそうだ。

 じゃぁどうやってそれを練習するか、細かく手順を書いていく。部屋の鍵をかけて、窓のカーテンを引くように。

1)唇を閉じる。唇に力を入れないようにして、真ん中に、楊枝の太さ位の穴が開くようにする。唇の真ん中からポッって空気の泡粒を出す感じね。楽器は、まだ持っているだけよ。

2)その穴から、「これくらいなら、音出るかなぁ」くらいの息を出す。いいか、楊枝の穴変えるなよ。力も入れるな。息の圧力で、穴が大きくなるようだったら、息、出しすぎだから。口元に蝋燭(火のついたやつな)持ってきても、やっと炎が揺れるくらいの息だ。
 そこで、ちょっと試してほしいんだが、人差し指で(何指でもいいけど)下唇を、ちょんって押してみな。うわぁ!せっかくの穴、馬鹿でかくなっただろ?だから、だから、楽器唇に押し付けちゃいけないの。下唇に楽器が張り付いてしまったら、穴のコントロールは上唇だけでしかできない。どう考えても損でしょ。損、つまり、最大の効率になりませんから。

写真貼っといた。このくらいの穴だ。このために、せっかく伸ばした髭、剃っちまったのよ。こう見えても、結構、真剣にやってるから。唇の形は、参考にするなよ、写真の角度で大きく見え方が変わるからな。でも、唇にほとんど力が入っていないところは、参考にしてくれ。

3)その息の穴から、息を出したら、そのままそこへ楽器を持っていく。出す音は、低音のG(ソ)位がいいだろう。楽器も安定するしな。いいか、楽器を唇に押し付けるな、穴が大きくなってしまうからな。口と楽器の間にティッシュを挟んで、かろうじて落ちないくらいの力でいいぞ。口を絶対変えるな。音の出るところに楽器を持っていくんだ。楽器を内側に回しすぎるなよ。歌口を塞ぎすぎるなよ。せいぜい3/1、できれば1/4だ。そう、穴と歌口が近すぎないようにするんだ。しつこく言っておく。口動かすな、楽器を動かせ!な、意外なところで音が出るんじゃないか?

 4)音の出るポイントが見つかったら、そこでふたつのことにチャレンジだ。

第一に、音の出だしだ。スッカァとか、シィとか空気の音がしたら、それが出ないようにポイントをもっと探す。息を出した瞬間に音が出るようにするんだ。余計な空気の音は、その吹き方が最大の効率ではない証拠。それができたら、第二、もっと少ない息でやってみろ。これの繰り返しだ。

5)うまくできると、歌口の真ん中に真っ直ぐに息の跡ができてるだろ?幅は1~2ミリってところで、帯状または長い三角形になってるはずだ。ほんとに、しつこいけど、フルートが、下唇に寄っかかってると、だめよ。

 え、これじゃ曲になったとき、指動かせませんってか?あはは、それ、持ち方が悪いのよ。この、「フルートの良い音の出し方」、書き終えたら、「フルートの持ち方」を書くから、ちょっとそのまま、待っててくれ。じゃあな。
今日はここまでだ。