月別アーカイブ: 2016年12月

フルートの吹き方 良い音を出すための持ち方(1)

 すまん。タイトルが長くて。持ち方というと、持ち方を変えれば、何とかこの回らん指が回るようになるんじゃないか、と考える人も居るだろうから、あえて、良い音を出すためのと、断りを入れておいた。指が回らない、あるいは回らないと感じる原因は、多くの場合、音が正確に出ていないことに起因する。音の立ち上がりが悪ければ、頭の中の音と実際に出た音との誤差を、私たちの脳のCPUは必死に補正する。そんなことが、2秒も続けばあっという間にCPUはパンクして、素っ転ぶね。跳躍のために、吹き方をガラッと変えなきゃならないとしたら、そこでも厄介なことが起きるだろうし、急激な音色の変化にもCPUは対応を始めるだろう。極論かもしれないが、音がちゃんと出てりゃ、指は誰だってよく回る。音が出てないのに指だけむちゃくちゃ回るやつも、居ないではないが、これ以上は黙っとこうか。

 3点支持とか、4点支持とかが、しばしば論じられているようだが、結論から言うと、はっきり言って「ばかばかしい」。3点支持ってのは、口と、左の人差し指と、右手の親指(胴体の手前を向こうに押すような位置)、4点支持ってのは、口と、左の人差し指と、右手の親指(胴体の下に位置する)と、右手の小指だ。一見科学的で、合理的だが、どちらも口を楽器の支持点と考えている時点で、アウトだと言っておく。確かに、口も、左の人差し指も、右の親指も、小指も支持点には成り得る。が、固定された支持点ではない。音の出し方のところで述べたように、唇は音域、強弱、音程、音色などに対応するために、複雑かつ微妙に変化しなくてはならない。当然、上唇も下唇もだ。その時、フルートが下唇に張り付いちまっていたら、もはや唇はほとんどコントロールできないんじゃないか?特に下唇は。

 じゃぁ、どうやって持つか。なんとなく持て、だな。究極の安定はバランスをとることによって得られる。綱渡りで、絶対落ちないように足と綱とを固定するとしたら、どんだけの装置が必要になる?長い棒を手にもって、左右のバランスを取りさえすれば、なんと簡単に安定することだろう。右に傾いたり、左に傾いたりするかもしれないが、足と綱とは安定的に接しているはずだ。この、足と綱との接点が、我々の口と、フルートの接点だ。ガシッと固定されていたら、ほんのわずかの傾きでも、転落だ。いや、あなたが、直立不動で、身動き無しに吹くんだったらそれでもいいが、それで音楽はできんだろう。

 次回は、具体的にどう持つかを解説するつもりだ。一つだけヒントを出しておこうかな。フルートの重心はどこ?だ。立っているあなたの重心じゃないぞ、そんなもんどこでも構わん。右や左にしょちゅう変わるのが極めて自然。人間だもの。しかし、フルートの重心は一定のはず、その重心の位置だ。

ま、これだけは覚えておいてくれ、
なんとなく持て、だ。
今日はここまでだ。

フルートの吹き方 良い音を出すための持ち方(2)

 なんとなく持て。つまり、バランスをとって、曲芸師がおでこの上に色々なものを載せて見せるように、持つってわけだ。その時に、絶対必要なのが、昨日ヒントを出しておいた、重心を感じるということだ。3点でも4点でも、フルートをガッチリ支えたければ、この際重心はあまり関係がない。

 その重心だが、フルートの重心には、長尺方向の重心と、回転軸方向の重心とを考えなければならない。(厳密には、重心という言葉はこの際適当ではないかもしれないが。)まず、フルートの頭部管の先端近くを左手の人差し指の上に乗せ、足部管の先端部分を右手の人差し指に乗せてみようか。そう、フルートはぐるっと回って、キイポストや、芯金のあたりの機械密集部分が下になるはずだ。つまり、フルートはいつもいつも、内側に回ろうとするんだな。つまり、吹いているうちに、どんどん下唇が歌口を覆っていく。だろ?高い音が出にくくなって、音程が下がって、苦しくなって・・・。この、回転を止めてやらなければならない。方法は後で述べる。

 もうひとつ、長尺方向の重心だが、これは、楽器単体では一定しているものの、そのうえで動かす指の位置や、運指の状態によって、若干移動する。本来の重心を支点にしてシーソーの乗り手の重みが右手寄りになったり、左手寄りになったりということだ。この、移動する重心をいかに感じてやるかが、フルートを持つうえでの大事なポイントだ。ちなみに、私はカバードC管を吹いているが、このフルートの重心は、だいたいAキイ(左手中指の真下位)にある。そこで、ひとつ実験だ。口にフルートを当てずに、フルートは吹いているときの角度を保って、右手と左手だけでフルートを持ってみよう。指使いは、最低音のC(ド)にしてみようか。力、入れるなよ。指が赤くなったり、青くなったり、白くなったりしたら、アウトだぞ。フルート支えられるよな。左右の指全体でフルートの重みを感じてみよう。そうだよ、ふわっと力抜いて持ってないと判らないだろ?そうしたら、次に少しずつ指を動かしてみる。少しだだぞ、指は2.5ミリ上げれば十分なんだから。半音階で、上に行ってみるか。ゆっくり、バランスを取りながら、歌口が上下しないようにだ。おや、困ったな。2・3オクターブ目のC(ド)、Cis(ド#)、3オクターブ目のG(ソ)、Gis(ソ#)4オクターブ目のC(ド)、Cis(ド#)(・・そこまでやらんでもいいが)あたりで、なんともうまく支えられなくなるはずだ。じゃぁどうするか。ほんのわずかに、左手の人差し指に楽器を感じてみようか。うまくいいかなかったら、見えないくらいに左の手首を内側に入れてみてくれ。うまくいったか?この、わずかの重心移動を感じることが、フルートを支えるコツだ。パッセージが早くなればなるほど簡単に、これらの音を通過できるようになる。まるでフルートが宙に浮いている間に、次の運指に移っていくような感じだな。

 どうだ?ふわっと持ててるか?今日はあえて、指や手の形に触れなかった。話の順序としては先にやっておくべきかもしれないが、正しく持つということが、単に指回りの良さのためだけではない、ということを言っておきたかったからだ。次回は、指や手の形について詳しく述べるつもりだ。すまん。これから楽しい料理の時間なんだ。

今日はここまでだ。

フルートの吹き方 良い音を出すための持ち方(3)

 まず、右手の甲を上にして、完全に脱力してちょいと観察しようか。ピアノを習うと、「手の中に卵を包むような感じで・・」って、言われるよな。フルートも同じだ、それが自然だから。いま、冷蔵庫に卵を取りに行こうとした貴方は、才能ある! たいていの大人、99.9%の大人は、「ふん、ふん、それで?」って、わかったつもりになるんだな。子供は違うぞ。「おかあさん!卵!」だ。ま、いいか。あ、思い出した。卵ってどうしてあんな歪な楕円形してるか知ってるか?あれな、転がっても元の位置に戻ってくるんだよ。つまり、巣から落ちないってわけね。それから、あの細い方と、平らっぽい方と、どちらが先に出てくるか知ってるかい?あれ、平らっぽい方なのよ。これ、豆な。

 さてと、まず親指だが、人差し指の真下に90度ねじれて付いてないか?ついでに軽ーく人差し指と親指で輪っか作ってみてくれ。OKサインだ。二本の指のどこが接した?んなら、そこでフルート持とうぢゃないの。つまり、右手の親指は腹でフルートを支えるんじゃないぞ。横だ。爪の横か、もう少し指の付け根に近づいたところだ。位置は、人差し指の真下だ。写真貼っとくわ。勘弁してくれ、汚い手で。荒れてんのは料理するからだ。洗い物もちゃんとするからな。お母ちゃんにさせてるんだったら、この瞬間、感謝しような。親指の腹でフルート支えようとすると、手の形がつぶれたようになって、中指、薬指がキイから離れていくだろ?やってみな。それから、さりげなく書いておくが、前回、「回転を止める」と書いた。それ、この親指で止めるんだよ。手首をほんのちょっと持ち上げてごらん。親指に傾斜がついて、楽器の回転止められるだろ?

 次に、人差し指、中指、薬指、(小指)だ。手の甲をよく見てくれ。湾曲してるよな。しかし、フルートの三つのキイは平面上にある。この三つのキイを全部、律儀に指の腹で抑えてみろ、指突っ張ってどうしようもないだろ。だから、指は小指のほうに行くにしたがってだんだん指の外側で押さえていくことになるんだ。右手の小指なんか、ほとんど角で押さえないと力も上手くかけられんぞ。そこのEsキイはバネが固めだからな。小指なんか、腹で押さえてみろ、真っ直ぐに伸びちまうわな。先生にいつも言われんだろ?先生も先生だわな。はい、指伸びてちゃダメよ、なんて言うだけなら楽な仕事だ。今度それしか言われなかったら、睨みつけてやれ。

 そこの美しい貴女!あなたの白魚のような細いきれいな薬指の「外側で」リングキイ、ちゃんと塞がるか?そうまでして、リングキイに拘る理由は何なの?ま、そう言うこの私も、二本目はリングキイだった。かっこ良かったからな。大学卒業まで、リングキイだった。かっこ良かったからな。でもな、ドイツである時、きちんと調整されたカバードキイのフルート吹いて、感動したわ。「リングより鳴るじゃん。」それから、もうひとつついでに言っとくと、リングにはH管だわな。3オクターブ目の響きの為にその方がいい。でもな、フルートの右のほうが重すぎて、バランスとり難くないか?前回書いたように、口をつけずに手だけでフルート持ってみると、歌口のほうポーンて、上がっちゃわないか?

 毒づいていたら、疲れたな。やっぱり性格に合わんな。

 明日は、左手だ。こいつは厄介だ。

今日はここまでだ。

フルートの吹き方 良い音を出すための持ち方(4)

 さて、「前へならえ!」するぞ。いいか、その状態では、親指上向いてるよな、それを内側に回してみようか。どうだ?肩、上がるだろ?フルート吹くと肩が凝るとか、先生に方が上がっちょる!って、優しく指摘されるとかあると思うが、原因はこれよ。そうやって吹いてるのよ。逆に、小指が内側になるように回してみようか。どうだ?肩下がるだろ?そうやって持ちゃあいいのよ。

 「止めて!止めて!こっち来ないで!!」って、手を出すとき、小指を、内側にして出す〇カはいないよな。つまり、親指内側に回るのは「拒否の姿勢」だな。「わぁ!かわいい赤ちゃん!ちょっと抱かせて!!」って手を出すとき、小指のほう内側だよな?「親愛の姿勢」だ。な、考えようぜ。大切な大切なフルートを、拒否の姿勢で持ってて、いい音、鳴るわきゃないと思わんか?つまり、フルート持ったら、両手共に、できるだけ小指方向に力を逃がしてやるのよ。まぁ、外側方向に回すように心がけると言い替えてもいいかもしれない。昨日も書いたのは、右手は人差し指と、親指で輪を作るようにフルートを挟んで(少しだけ親指が前に出した方が安心かな)、後は小指に向かって、キイから離れないように少しずつ指の外側で押さえていくだった。これ、右の手の平を小指方向に回し気味って感じだろ?

 んでは、厄介な左手に移るぞ。左手も、右手と同じようにできるだけ小指方向に回し気味に持つんだ。難しいよな。特に、人差し指の第一関節と第二関節の間で、フルートをぎゅっと押さえていると、(つまり、フルートを唇に押し付けていると)見事に左肩が上がるね。リングキイのインラインで左手の指使いが難しくなるのはこれが理由よ。薬指が、キイの穴目指して行こうとしているのに、人差し指が逆に引っ張るわけさ。だから、薬指、伸びきるね、たいていの場合。嫌だろ?例えば3オクターブ目のFis-Gis(ファ#-ソ#)。悪い持ち方で、千回さらっても、得意にはならんと思うぞ。

 こんな練習をしてみてくれ。ドアに鍵かけて、窓にカーテンな。
1オクターブ目のGis(ソ#)吹いてみようか。吹きながら、左手の人差し指をフルートから離してみよう。そう、小指方向に手のひら回すようにだ。できるか?最初はぎこちないかもしれないが、慣れると、優雅に動かせるようになるぞ。キイ、ぎゅっと押さえていると出来んぞ。また言うが、キイを押さえてる指は、赤くなっても、青くなっても、白くなってもアウトだ。出来るようになったら、色々な指使いで試してくれ。もちろん、出来る指使いと出来ない指使いがある。でも、出来る指使い、すごっく多くないか?だから、ゆっくりのパッセージとか、長い音の時離してみるのもアリだな。ま、離さんでもいいよ、ただいつもその外側、外側というイメージを持って楽器を持つのがキモだな。かわいい赤ちゃん抱くようにな。

 これから、餅切ってそれから昼ご飯つくるんだ。皆、いい年になるといいな。俺は、いい歳だけど。
来年は、きっと、いい音で、気持ちよくフルートを吹けるようになるよ。

今日はここまでだ。

フルートの吹き方 良い音を出すには・・・(1)

フルートのどんな音が良い音かを説明することは、なかなか難しい。
明るい音、澄んだ音、柔らかい音・・・・しかし、それだけか?それでいいのか?と、問い直すと、たとえもっと言葉を加えたとしても、満足は得られないのね。これは人間と同じで、「理想の男性像は?」なんて聞かれて(おバカな質問だと思うけど)、そりゃ口で、「明るい人! 元気な人! 優しい人!」なんて、無邪気に答えたところで、実際そんな男がいたら、「つまんないヤツ!」って言われちゃうに決まってる。
ま、しかし悪くてダメな方は割とはっきりしてるかな。雑音のある音(清潔感のないヤツ)、不安定な音(信用できないヤツ)、つぶれた音(嫌味なヤツ)、みたいにね。でも、心配はいらない。そんな男はゴロゴロいるし、それでも彼女だっているんだから。

で、これから何回かに分けて、フルートで良い音を出すコツを伝授する。1回で書いてもいいけど、企業秘密でもったいないので、小出しにする。まず、これができたら間違いなく良い音が出ると断言する。あなたが吹くのだから、あなたにとっての、これ以上もない良い音が出ることを保証する。決して世界一の音とは言わないよ。世界一の人間なんて居ないんだからさ。
もしこれで、満足できなかったら、フルートを替えるか、あなたの口を替えるしかない。逆にいえば、これを完遂するまで、フルートは替える必要なし!と言いたい。楽器のせいにして、次から次へと歌口を替えてはいかんよ。ええ、人間と同じですから・・・人のせいにして、次から次へと彼○を替えちゃいけません。

長い前置だが、中身は単純。たったひとつ。
「息のエネルギーを最大の効率で音に変える。」
これだけ。なんだ、それ!怪しいな!と思った? ま、いいよ思っても。そのうち驚くから。
次回から、この詳しい内容を説明していく。さらに、練習法までご紹介する。

これだけは、憶えておいてくれ。
息のエネルギーを最大の効率で音に変える!

きょうはここまでだ。
このエントリーをはてなブックマークに追加

フルートの吹き方 良い音を出すには・・・(2)

 前回、「息のエネルギーを最大の効率で音に替える」とだけ書いたわけだが、今回は、フルートの良い音色に必要な条件を、ごく大雑把に整理しておきたい。

 適正な位置に、適正な角度で、適正な距離から、適正な息の太さで、適正なスピードで息が当たること。

 

1)適正な位置とは、楽器の縦軸に対しての位置のことで、答えは単純明快。歌口のど真ん中。これ以外はあり得ない。つまり、歌口の左っ側、でも右っ側でもいけませんよ、真ん中に真っ直ぐに息を当てましょうねってこと。これが正しくないと、ただただ雑音発生源。

2)適正な角度。左右への角度、楽器の回転軸に対しての角度と考えられるけれど、ここでは楽器の回転軸に対する角度のこと。歌口のど真ん中に、右や左から息を当てるのは(1))の意味でアウトだ。顔面に平行にフルートが当たってりゃ大丈夫なはずだけど、ま、たまには右手を前に出したり、後ろに引いたりして、音の変化を見てみようか。さてこの角度(回転軸)は主に倍音の構成要素に影響するから、音色や高低音の出方に影響する。また、逆に極端な角度の場合を除いて、雑音の増減に影響しない。はず。

3)適正な距離というのは、唇からエッジまでの距離のことで、実はあまり重要ではない。ただし、唇から出た息は、必ず広がっていくから、距離が遠いと、次の(4)での息の太さに大きな影響を与える。そして距離が近いということは、多くの場合、下唇で歌口を覆う量が多くなるから、歌口から息の入る量が制限を受ける。詰まった音になるね。楽器からの抵抗も大きくなるから、それを「吹き心地」みたいに感じる人もたまにいるね。楽器と戦って美しい音を勝ち取るんだ!という人はそれでいいんじゃないか。頑張ってくれ。

 なんで、ここでこれほど嫌味を言うかっていうと、嫌いなんだよ私は、そういう音が。

4)適正な息の太さ、これは多くは音量の問題だね。ただ、一度歌口のエッジを見てほしい。息の巾なんて、いくら太くてもせいぜい5mmってところじゃないか?それ以上の巾があったら、確実に息は無駄使い、立派な雑音が聞こえてくるはずだわ。高さ。これ、高いほうが得。(2)の倍音に関した事柄から考えると、豊かな音を出す条件だな。

5)適正なスピード、音の高低だ。大雑把に言うと、高い音は早くなるし、低い音は遅い。そこで、問題になるのは、高い音を出そうとして頑張って、唇にうんと力を入れると・・・そう、息、細くなります。そして唇の息の穴薄くなって、横に広がります。高音で雑音が増えて、細い音になって、美しい音色なんて臨むのも無理みたいな音、心当たりがあったら、考えてみてね。力が入りすぎて、もう息がどこに飛んで行ってるのか判んないくらいだと、そのまま頑張っても無理だよ。逆に、低い音、息のスピードを緩めるために唇まで一緒に緩めちゃうと、・・・そう、息、太くなります。余計なところに息当たります。雑音増えるだろうね。

 以上、完全に説明できているわけではないし、個々の要素はもっと複雑に絡み合っている。ただ、チェックポイントとして整理しておくと、問題解決に役立つだろうから書いといた。きつい書き方をしてしまったけれど、レッスンはものすごく優しいから、誤解しないように。ね。

今日はここまでだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加

フルートの吹き方 良い音を出すには・・・(3)

「息のエネルギーを最大の効率で音に変える」

前回は、主に楽器の側から息がどう当てられるべきかを考えてきたが、今回は人間の側からだ。息。生き、活き・・・「息」は「生きる」の証。古代ギリシャ語の息(プシュケー)も命や魂のことを含んでいる。つまり、ここでいう息のエネルギーっていうのは、フルートを吹く人の命のエネルギーって事だ。そのエネルギーが最大の効率で音に変えられたら、そりゃもう、良い音どころか、この上もなく素晴らしい音楽になるんじゃないか、と、思うが。どうだろう?

人間と、フルートが接するあの点、あの歌口の真ん中の一点に、私たちの存在のエネルギーを、命を凝縮させるんだよ。子供のころ虫眼鏡で太陽光を 集めて紙を焼いたでしょ。あんな風にフルートのあの一点を燃え上がらせるんだよ。そして、そこから私たちの音楽を始めようじゃないか。考えただけで熱くなるだろ? ならんか、まだ。

誤解しないで欲しいんだが、決して力を入れろとは言ってないぞ。虫眼鏡を紙に近付けても、強く握ってもうまくいかないだろ。無駄な力を一切省いて、その力を歌口のあの一点に集中させなければならないのだから、必要最小限の力で立て、最小限の力で楽器を持ち、最小限の力で指を動かし、譜面を読め、そして、最小限の力で呼吸をしろ!唇に余計な力を入れるな!余計なことを考えるな!うまいとか下手とか、称賛とか、非難とか、何時間もかけて練り上げた表現とかも考えるな!きょうのギャラとか、言うことをきかない子供のことなんか、一瞬思い浮かべるだけで最悪だぞ。

えっと、頭冷やすために・・・

「生き」はVivace(ヴィヴァーチェ)、「活き」はAllegro(アレグロ)、ついでに「行き」はAndante(アンダンテ)。Allegroに「速い」なんて意味は無いからね。同様に、Largo(ラルゴ)には「遅い」という意味はない、「ゆったりと」だ。ゆっくりはLento(レント)だ。Adagio(アダージオ)はどちらかというと、「静かに」のほうが合ってる。Andanteが「歩く速さ」なんて、嘘っぱちだぞ。Andanteはandareの現在分詞。andareは英語のgoだからね。ゆったりと、途切れなく前に進んでいくんだ。

次回は「あの一点」について述べる。

きょうはここまでだ。

フルートの吹き方 良い音を出すには・・・(4)

 「息のエネルギーを最大の効率で音に変える」
ことを大目標にして、今日は、それをどうやって実現していくかの話だ。企業秘密の核心部分だ。この際、みんな貴重な時間を使ってフルートの練習をするわけだから、合理的にやろうぢゃないか。最大の効率ということは、「同じ息の量なら最も大きい音のするところ」で、間違いない。でも、同じ息の量って、どうやって測る?どうやって同じ量を維持できる?だから、やみくもに「鳴るとこどーこだ」って、あっちこっち吹いてみても時間の無駄よ。なら、こう考えよう。「わずかな息でも、音が出るところ。」おぉ、これならいけそうだ。

 じゃぁどうやってそれを練習するか、細かく手順を書いていく。部屋の鍵をかけて、窓のカーテンを引くように。

1)唇を閉じる。唇に力を入れないようにして、真ん中に、楊枝の太さ位の穴が開くようにする。唇の真ん中からポッって空気の泡粒を出す感じね。楽器は、まだ持っているだけよ。

2)その穴から、「これくらいなら、音出るかなぁ」くらいの息を出す。いいか、楊枝の穴変えるなよ。力も入れるな。息の圧力で、穴が大きくなるようだったら、息、出しすぎだから。口元に蝋燭(火のついたやつな)持ってきても、やっと炎が揺れるくらいの息だ。
 そこで、ちょっと試してほしいんだが、人差し指で(何指でもいいけど)下唇を、ちょんって押してみな。うわぁ!せっかくの穴、馬鹿でかくなっただろ?だから、だから、楽器唇に押し付けちゃいけないの。下唇に楽器が張り付いてしまったら、穴のコントロールは上唇だけでしかできない。どう考えても損でしょ。損、つまり、最大の効率になりませんから。

写真貼っといた。このくらいの穴だ。このために、せっかく伸ばした髭、剃っちまったのよ。こう見えても、結構、真剣にやってるから。唇の形は、参考にするなよ、写真の角度で大きく見え方が変わるからな。でも、唇にほとんど力が入っていないところは、参考にしてくれ。

3)その息の穴から、息を出したら、そのままそこへ楽器を持っていく。出す音は、低音のG(ソ)位がいいだろう。楽器も安定するしな。いいか、楽器を唇に押し付けるな、穴が大きくなってしまうからな。口と楽器の間にティッシュを挟んで、かろうじて落ちないくらいの力でいいぞ。口を絶対変えるな。音の出るところに楽器を持っていくんだ。楽器を内側に回しすぎるなよ。歌口を塞ぎすぎるなよ。せいぜい3/1、できれば1/4だ。そう、穴と歌口が近すぎないようにするんだ。しつこく言っておく。口動かすな、楽器を動かせ!な、意外なところで音が出るんじゃないか?

 4)音の出るポイントが見つかったら、そこでふたつのことにチャレンジだ。

第一に、音の出だしだ。スッカァとか、シィとか空気の音がしたら、それが出ないようにポイントをもっと探す。息を出した瞬間に音が出るようにするんだ。余計な空気の音は、その吹き方が最大の効率ではない証拠。それができたら、第二、もっと少ない息でやってみろ。これの繰り返しだ。

5)うまくできると、歌口の真ん中に真っ直ぐに息の跡ができてるだろ?幅は1~2ミリってところで、帯状または長い三角形になってるはずだ。ほんとに、しつこいけど、フルートが、下唇に寄っかかってると、だめよ。

 え、これじゃ曲になったとき、指動かせませんってか?あはは、それ、持ち方が悪いのよ。この、「フルートの良い音の出し方」、書き終えたら、「フルートの持ち方」を書くから、ちょっとそのまま、待っててくれ。じゃあな。
今日はここまでだ。

フルートの吹き方 良い音を出すには・・・(5)

 前回の、補足をしておこうと思う。
補足)だんだん息の量を落としていくわけだが、当然、それに伴って息の穴は小さくなっていかなければならない。ホースで水を撒くところを想像してみてほしい。蛇口を大きく開けた時と、細く絞った時では水の飛ぶ角度が変わる。この角度を変えないようにするには、ホースの先をちょっと細くしてやればいいわけだ。

 さて、諸君の努力の賜物で、「あの点」が見つかったことだろうと思う。ああ、写真貼っといた。何しろ人手不足なんで、自撮りだから、こんなんで勘弁してくれ。息の穴と、エッジまでの距離感を参考にしてくれ。後々のために、あんまり近すぎないほうが良いぞ。それから、見え辛いが、歌口の真ん中に真っ直ぐな息の後が見えると思う。これは低音のG(ソ)で吹いているところだ。こうして、「あの点」が見つかったら、そこで、いろいろな実験をしてみよう。

 1)まず、穴の大きさを変えないで、息のスピードを上げてみよう。この場合、当然息の圧力が上がるわけだから、穴の大きさを維持するために、唇には多少の力が加わっていくはずだ。(多少だぞ)どうだろう?音色が変わっていくはずだ。倍音が多くなっていく、そしてさらにスピードを上げると、だんだんオクターブ上の音が聞こえてきて、さらにオクターブ上の音だけになって行く。ここでは、音はあまり大きくはならないはずだ。

 2)今度は、息のスピードが変わらないようにして、ほんの少し穴を大きくしてみよう。(ほんの少しだからね、実際は見てもわからない位)つまり、息がたくさん出ていくわけだな。音が大きくなれば正解だ。できる人は、この時、穴の巾を変えずに、高さ(厚さか?)を増すように工夫してみよう。どうだ?柔らかな、豊かな音になるだろ?
この、高さを増す方法にはちょいとしたコツがある。唇の端を引いてはだめだなんだ。これ、そのうちに、YouTubeで紹介するつもりだ。何しろ忙しいんでな。待ち遠しいようだったら、催促してくれ。これらができるようになったら、ここを基準に、色々なチャレンジができるはずだ。上唇だけじゃなく、下唇も自由にコントロールできることが、とても重要であるのが、お分かりいただけると思う。
 今日の最後に、こんな実験。鼻をつまむ、もしくは洗濯ばさみで挟んでおく。息をたくさん吸い、口に力を入れず、小さな穴を作って、低音のGはこれくらいかな?ってスピードで息を出し続ける。何秒続くかな?じゃぁ、実際に同じようにG(ソ)を吹いてみようか。何秒続いた?さっきほど続かんだろ?さて、さて、その差はいったい何なんだ?ってことを、考えようじゃないか。(鼻をつまむのは、長い間息を溜めていると、苦しくなって鼻から息を逃がしてしまうことがあるから。)

 

 今日はここまでだ。

フルートの吹き方 良い音を出すには・・・(6)

 高い音が出ない、出ても細い、雑音が多い、フォルテ、ピアノができない、音程が高い。低い音が出ない、出ても、音の立ち上がりが遅い、暗い、フォルテ、ピアノができない、音程が低い。息が続かない。フルート吹きの悩みは深いのだな。

 息の穴は大きくしたり、小さくしたりすることによって、息の量とスピードをコントロールする。もちろん、腹からどんな息を出すかも重要だし、楽器の回転や、息を出す方向の調整も、実際には必要だ。でもな、名手がいつもそんなに大変なことをやってると思うか?本当は、簡単なんだよ。

 前回、最後に小さな実験を提案しておいたが、いかがだっただろうか?たぶん、楽器無しで息を出すのと、楽器で実際に音を出すのとでは、伸ばせる長さに相当の開きがあったことと思う。その差こそが、私たちが、フルートを吹くときに、誤解している部分だ。つまり、フルートを吹くときに、私たちは、思っているよりもはるかに多くの息を使ってしまっている。フルートを構えたとたんに、(唇に触れた瞬間に)息の穴は大きくなってしまっているのだ。フルートを吹こう、音を出してやろうと思うからだ。その時こそ、私たちは注意深く振舞わなくてはならないだろう。そこで唇に力を入れるのか?横に引くのか?たぶん違う。どんな吹き方が理想かと問われれば、何もしないで音を出すことだと答えよう。それは、唇から始まって、指、呼吸、姿勢、そして精神までもだ。無だ。無の境地だ。剣豪は剣を抜かずに、敵を倒すのだよ。西洋音楽に無の境地なんて有るめぇよ、って思ったか?私の深く敬愛するハンス・ペーター・シュミッツ博士は、しきりに禅の境地に学んだと言ってたぞ。

 私たちは、命の証である息のどんな一粒も無駄にしてはいけない。だから、一粒の息でも音を出せるようにしなくてはならない。もし、それが本当に私たちの最後の一粒だとしたら、どれほどの輝きが得られようか。あらゆる喜びと、あらゆる悲しみを超えた輝きに違いないだろう。音楽が意味を持つ偉大な瞬間がここに訪れる。いつも考えよう。「この息が、最後の一粒だったら、何を語るのか」と。

 「命の証である息を最大の効率で音に替える」ことができたとき、それはどんな音なのだろうか?ひとりひとり違う命、体形、骨格、口の形、唇の質、歯並び、楽器だって一本一本違う。だから、その時、出てくる音はきっと「誰も聴いたことがない」ような素晴らしい音のはずだ。それを信じることだ。そして、何よりも重要なことは、その(あなただけの)音を得られるチャンスは、何十年フルートを吹いているヴェテランにも、初めて今、楽器を持った初心者にも、平等に存在するということだ。努力によってか、偶然によってか、どちらでもいいじゃないか、とにかく息が全部音に変わればよいのだよ。明日、あなたはその音を聴くことができる。

今日はここまでだ。